デフレ脱却「金利弾力化より追加緩和」 日銀片岡審議委員

 日銀の片岡剛士審議委員が6日、横浜市内で記者会見し、7月末の金融政策決定会合で2020年度までの物価見通しを引き下げ、金融政策を修正したことに対して、「金利の弾力化を図るより、金利をより低下させる追加緩和という対応が必要」と批判した。

 また、金融緩和の長期化によって地域金融機関の収益悪化などの“副作用”が指摘される中、「金融仲介機能が著しく阻害されるのは当然ながら好ましくない(が現状ではそうではない)」と否定。「特段、副作用が起こっているとは見ていない」との認識を示した。

 片岡氏は、政策がもたらす金融市場への最大のリスクは「デフレの長期化。投資やお金の流れが停滞するなどの状況を是正するには、早期にデフレからの脱却を図る必要がある」とし、あらためて一層の追加緩和の必要性を訴えた。

 また、神奈川県内経済の印象については、「産業の中心が製造業から非製造業に変わっており、研究開発分野を中心に将来の成長、発展に向けた有望な分野が少なくない」と述べた。

 片岡氏は、会見に先立って開かれた金融経済懇談会で、県内の行政や経済界代表を前に講演。日銀が7月の会合で、長期金利の上振れを一定程度容認するなどの政策修正を決めた際に反対した理由について、「物価安定の目標の早期達成に足るだけの強力な政策ではない」とし、物価が十分に上がっていない中で金利上昇を認めると「(2%の)物価目標が後退しかねない」と強調した。

 世界経済の先行きについては「(米国発の)貿易摩擦問題が深刻さを増しており予断を許さない」として、下振れリスクがあると指摘した。

会見する日銀の片岡剛士審議委員=横浜市西区

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