小田急電鉄(東京都)と小田急グループの江ノ島電鉄(藤沢市)は6日から16日まで、神奈川県と連携し江の島周辺の公道で自動運転バスの実証実験を始めた。6日に出発式が開かれ、関係者が最先端技術の乗り心地を体験した。
江ノ電バスの運行区間を一部延長し、江の島内に臨時のバス停「小田急ヨットクラブ」を設置。同バス停から江の島大橋を渡り、「江ノ島海岸バス停」までの区間(約1キロ)を、時速平均20キロで運行する。
自動運転の技術レベルには、5段階の国際基準があり、今回は「レベル3」。ドライバーが同乗し、限定条件下のみシステムが全ての運転タスクを実行する。自動運転バスが、県内の公道を走るのは初めて。路線バスに近いルートで、どのように走行するかを検証する。
出発式には、黒岩祐治県知事、鈴木恒夫藤沢市長、小田急電鉄の星野晃司取締役社長、江ノ島電鉄の楢井進取締役社長、SBドライブ佐治友基代表取締役社長兼CEOが出席。星野社長は「乗り心地を肌で感じてほしい」と意気込みを語った。最後に実験車両に試乗。バス停を往復して戻ると、「快適だった」「素晴らしい」と笑顔で降車した。
今回の実験は、県が取り組む「ロボット共生社会推進事業」の推進と小田急グループにおけるバスの自動運転の検証のため実施。セーリングワールドカップ江の島大会の開催に合わせ、11日からは、一般モニター約450人を乗せる。
◆違和感ない乗り心地試乗
試乗会には、記者も参加。さまざまな技術が詰まった運転に、驚きを隠せなかった。
実験車両は、コミュニティーバスで使われる小型バスで、8人乗り。障害物までの距離を検知するセンサーや通信アンテナ、乗客の安全を確認するための車内カメラ、撮影された映像を映す画面などを設置している。
不測の事態に備え、運転席には江ノ島電鉄のバス運転手が座った。スタート地点まで手動で動かした後は、自動運転がスタート。静かに車体が動きだした。
スピード調整は違和感なく、車内が大きく揺れることもない。横断歩道の位置情報を搭載しており、近づくと自動で停止。折り返し地点の「江ノ島海岸バス停」付近では、ハンドルが生き物のようにするすると動いて左折した。約15分ほど乗車し、潮風を浴びながら、スタート地点に到着。徐々に減速して、ゆっくりと停車した。
県ロボット共生社会推進事業では、2020年までに「レベル4」の自動運転を目指す。どんなバスが走ることになるのか、期待は膨らむばかりだ。