空撮や配信写真で迫る関東大震災 横浜市内2カ所で展示

 東京や横浜が壊滅した95年前の関東大震災を振り返る写真展が、横浜市内の2カ所で開かれている。6日の北海道の地震でも観測された震度7相当の激しい揺れで建物が倒壊し、大火に見舞われた横浜中心部の空撮写真のほか、関西に配信された通信社の写真から当時の状況に迫っている。

 市民防災センター(神奈川区)で30日まで開催中の「空からみた関東大震災」(無料)は、陸軍撮影の航空写真を活用。震災関連写真の収集を続けるグループ「ジオ神奈川」(蟹江康光代表)が防災科学技術研究所自然災害情報室の協力を得て、写真をつなぎ合わせながら現在の地図と重ね、被害地点を具体的にイメージできるようにした。

 空撮が行われたのは、震災の起きた1923年9月1日の2日後や4日後。周囲が焼き尽くされた横浜公園や赤レンガ倉庫の周辺、大桟橋などを上空2500~4千メートルから捉えており、焦土と化した横浜の惨状がはっきりと分かる。

 鎌倉や逗子、横須賀の状況も取り上げている。ジオ神奈川の蟹江由紀事務局長は「後世に伝えられるよう記録を残し、つないでいかなければ」と話す。

 横浜開港資料館(中区)のミニ展示「災害情報の伝播と通信社」は、当時配信された東京や横浜の被災写真を展示。象徴的な一枚として、大勢の被災者を乗せて横浜を出港した「ろんどん丸」が大阪に入港した場面をパネルにした。

 写真は数年前、個人から寄贈された。裏面に通信社のスタンプのほか、写真を使用した地方紙によるとみられる「五面 三ダン」といった掲載面とサイズの指定が手書きされている。担当の吉田律人調査研究員は「これらの写真は京都や神戸などの新聞社が実際に載せていた。被災地の状況が当時、どのように伝わっていったかを示す貴重な資料」と語る。10月28日まで。入館料は大人200円、小中学生100円。

空撮写真をつなぎ合わせ、現在の地図と重ねた「空からみた関東大震災」=市民防災センター

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