2009-10シーズンに3冠を達成したジョゼ・モウリーニョ率いるインテルでは、サミュエル・エトー、ゴラン・パンデフ、ディエゴ・ミリートで組む前線が特徴的だった。中央のミリートは点取り屋として機能し、エトーとパンデフは攻守両面でよく走っていた。この献身性がインテル成功の大きなポイントだったのだ。
しかし、ストライカーであるエトーはサイドで守備に走る役割をあまり好んでいなかったという。それを明かしたのは当時司令塔として彼らを操っていたMFウェズレイ・スナイデルだ。オランダ『Voetbal International』によると、スナイデルはエトーがモウリーニョ限定でウイングでのプレイを了承していて、他の指揮官の下では同じ役割を受け入れなかったと振り返っている。
「エトーはモウリーニョのために左のウイングでプレイしていたんだけど、後任のベニテスから同じ役割を求められた時に彼はこう答えたんだ。いや、あれはモウリーニョのためにしかやらないとね。モウリーニョと一緒に仕事をした者だけが分かるんだ。彼のチームマネジメントは特別なんだ。以前まで見たことがないものだった」
スナイデルのキャリアにおいて最も成功したのはモウリーニョのインテルでプレイしていた時で間違いないだろう。モウリーニョの手腕にはかなり心酔していたようで、エトーも同様だったのだろう。当時のインテルは派手なチームではなかったが、守備の堅いモウリーニョらしい負けにくいチームだった。それを作り上げたモウリーニョはやはりスペシャル・ワンなのだろう。