14歳、ウクレレに夢乗せて オーディションで高評価

 ウクレレに情熱を注ぐ中学生が神奈川県横須賀市にいる。フィリピン人の父と日本人の母を持つ、カポンポン・慈愛来(ジャイラ)さん(14)=横須賀市南浦賀。先月4日に公開された音楽オーディションに、市内から唯一、最年少で出場。優しい音色と豊かな表現力が高く評価された。初めての大舞台も経験し、慈愛来さんは「将来はプロになって、本場ハワイで演奏したい」と夢を膨らませている。

 「すごく緊張したけど、楽しかったし、いい経験になった」。市と大手音楽会社などが開いた、世界に羽ばたく若手アーティストを発掘するオーディションを、慈愛来さんはそう振り返る。

 ステージで演奏したのは、ビートルズの名曲「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」。体を揺らしながら、時折目をつぶり、感情豊かにしっとりと弾いた。審査員から「今後が楽しみ」と高い評価を受けた。

 ウクレレを始めたのは3年前。父のデロンさん(44)が牧師を務める教会で、いとこの男性(20)が奏でるのを見た。ドラム好きなデロンさんの影響を受け、幼い頃からドラムやエレキベースといった楽器に親しんでいたが、「ウクレレはコードが意外と簡単で、面白いと思った」と興味を持った。

 インターネットの動画サイトで指使いを覚え、好きな曲のコードを耳で聞き取って弾くなど、独学で学んだ。昨秋から月2回ほど、プロ奏者の渡辺海智(だいち)さん(25)の指導を受けている。

 ウクレレの魅力は「優しい音色はもちろん、音にいろんな表情があるところ」。オーディションではグランプリこそ逃したが、「人前で演奏したい気持ちが強くなった。自分で自分の将来が楽しみになった」と前を向く。夢は米・ハワイ出身で日本でも大人気の世界的プロ奏者、ジェイク・シマブクロさん(41)と、ハワイで共演することだ。

 家庭で学習する「ホームスクール」を選び、ウクレレととことん向き合う。今は毎週日曜日、父の教会で、賛美歌の伴奏を弾いて腕を磨いている。慈愛来さんは「ウクレレを世界に広めたい。力を抜いて聞いてもらい、観客がリラックスした気分になってくれればうれしい」と話している。

「世界で活躍するウクレレ奏者になりたい」と夢を語る慈愛来さん =横須賀市舟倉の「インマヌエルチャーチ」

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