倒産件数694件 倒産件数は5カ月ぶりの増加、「人手不足」関連倒産が調査開始以来で最多45件
2018年（平成30年）8月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は件数が694件、負債総額は1,212億6,800万円だった。
倒産件数は、前年同月比8.6％増（55件増）で、5カ月ぶりに前年同月を上回った。ただし、8月度の水準としては1999年以降の過去20年間で、2015年（632件）、2017年（639件）に次いで3番目に少ない件数にとどまった。
負債総額は、前年同月比31.2％増（288億9,300万円増）で2カ月連続で前年同月を上回った。負債100億円以上の大型倒産が2カ月ぶりに発生したが、全体では負債1億円未満が510件（構成比73.4％）で、小規模企業倒産が大半であることに変わりがない。
また、「人手不足」関連倒産は、2013年1月の調査開始以来で最多の45件（前年同月20件）にのぼった。このうち「求人難」型は13件（同ゼロ）になり増勢が目立った。
- 都道府県別件数：前年同月を上回ったのが25都道府県、減少が12府県になり、「増加」が「減少」を上回る
- 原因別件数：「既往のシワ寄せ」（赤字累積）」が7カ月ぶりの前年同月比増加
- 従業員被害者数：8カ月ぶりに前年同月を上回る3,401人
- 業種別：中古自動車販売を含む自動車関連業（11→29件）、老人福祉・介護事業（10→11件）などで倒産増加
- 「平成30年7月豪雨」関連倒産：風評被害によるゴルフ場の倒産が1件発生
- 中小企業倒産（中小企業基本法に基づく）件数が、8カ月連続ですべて（構成比100％）を占めた
産業別 サービス業他が3カ月連続、小売業が2カ月連続で前年同月を上回る
2018年8月の産業別倒産件数は、10産業のうち、7産業で前年同月を上回った。
このうち、サービス業他が203件（前年同月比5.7％増）で、3カ月連続で増加した。主な内訳では、居酒屋などの酒場，ビヤホール（11→18件）、エステティック業やネイルサロン（6→9件）などで件数を押し上げた。小売業は92件（前年同月比17.9％増）と2カ月連続の増加、中古自動車を含む自動車小売（6→19件）や菓子・パン小売（2→9件）で増加した。また、情報通信業28件（前年同月比21.7％増）と農・林・漁・鉱業5件（同25.0％増）が2カ月連続の増加。不動産業は31件（同106.6％増）で5カ月ぶり、製造業93件（同14.8％増）が4カ月ぶり、卸売業95件（同17.2％増）が3カ月ぶりに増加に転じた。
この一方、建設業126件（同11.2％減）が5カ月連続の減少、金融・保険業2件（前年同月4件）が3カ月連続で減少し、運輸業は前年同月同数の19件だった。
地区別 9地区のうち7地区で前年同月を上回る
2018年8月の地区別件数は、9地区のうち、近畿と四国を除く7地区で前年同月を上回った。このうち、中部92件（前年同月比9.5％増）と北陸19件（同58.3％増）が4カ月連続で前年同月を上回った。また、九州55件（同44.7％増）が3カ月連続の増加、中国が27件（同12.5％増）で2カ月連続で増加した。関東が258件（同4.4％増）で11カ月ぶりに増加に転じ、北海道が18件（同12.5％増）で7カ月ぶり、東北が40件（同48.1％増）で3カ月ぶりの増加になった。産業別では、中部が飲食料品製造などの製造業（9→22件）や卸売業（6→15件）で件数を押し上げ、北陸は飲食業などを含むサービス業他（5→8件）で前年同月を上回り、増加率が高かった東北は、建設業（4→9件）などで増加が目立った。
一方、近畿は175件（前年同月比3.3％減）で4カ月連続の減少。また、四国は前年同月同数の10件だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
（株）日本アイコム／広島県／マンション分譲／116億8,700万円／民事再生法 西日本観光（株）／兵庫県／ゴルフ場経営／52億7,900万円／民事再生法 福岡セラーン（株）／宮崎県／船舶リース／40億円／特別清算 辻商（株）／奈良県／靴下・雑貨小売／34億3,500万円／破産 （株）ツツイ／三重県／継手・フランジ製造ほか／34億円／破産
