中国人女性殺害 交際相手の被告「殺意なかった」無罪主張

 相模原市南区のマンションで2010年7月、交際相手の中国人女性を殺害した後、逃亡資金を得る目的で知人男性から現金を脅し取ったなどとして、殺人や強盗、恐喝などの罪に問われた男(46)の裁判員裁判の初公判が10日、横浜地裁であった。被告は罪状認否で「殺意はなかった」などと主張。男性からは金を借りただけとして起訴内容の全てを否認し、無罪を訴えた。

 検察側は冒頭陳述で「被告は背後から抵抗できない状態の女性の首を絞め続けた」とし、明確な殺意があったと指摘。男性には刃物を見せて脅迫した上でカードローンを組ませるなどして現金を奪ったとし、その現金を元手に事件の発覚前にアルゼンチンに出国したとした。

 弁護側は、女性が刃物で被告を襲ってきたことが事件の発端と反論。「被告は身の危険を防ぐのが精いっぱいで、反撃するうちに首を絞めてしまった」と述べて殺意を否定したほか、正当防衛が成立するとした。また男性に対する脅迫行為も、自主的に現金を貸してくれただけと、否定した。

 起訴状によると、被告は10年7月2日、同区のマンション一室で、この部屋に住む女性=当時(40)=の首をひもで絞めて殺害。同16~23日には知人男性宅に押し入って刃物を突き付けるなどし、現金計約125万円を奪った、とされる。

 被告は17年3月、アルゼンチンのブエノスアイレスで、現地の警察に不法滞在の疑いで身柄を拘束され、強制退去処分を受けて帰国後、県警に逮捕された。

横浜地裁

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