長崎伝統芸能館「まちなか」移転へ くんち文化発信

 定例長崎市議会は10日、一般質問を続行、3人が登壇した。田上富久市長は、諏訪神社の大祭「長崎くんち」の関連資料を展示している南山手町のグラバー園内にある長崎伝統芸能館について、同神社やくんちに出演する踊町など関係する市中心部の「まちなか」に移転する方針を示した。
 吉原孝議員(創生自民)が、「くんち資料館」の新設について質問したのに対し「資料館を踊町の中や諏訪神社の近くに置くことは自然な流れで、実現しなければならないとずっと思っている。場所が確保できる機会がある時にすぐ動けるように準備を整える」と答えた。長崎伝統芸能振興会によると踊町は現在、諏訪神社周辺の59カ町。
 市観光政策課によると、伝統芸能館はくんち文化の発信を目的に、多くの観光客が見込めるグラバー園にあるが、南山手町は踊町でない。広さは約2300平方メートルで各踊町の演(だ)し物や傘鉾(かさぼこ)などを保管・展示するほか、大型スクリーンでくんち関連映像を流している。市は「保管場所として狭い」「くんちに関係する場所で資料館を設置すべき」などとくんち関係者から意見が寄せられていたという。
 市は、長崎伝統芸能館の移転については「中長期的な課題」とした上で、再開発事業を進める新大工から浜町、大浦地区にかけた市中心部の「まちなか」に場所を確保でき次第、移転する方針だという。

移転する方針が示された長崎伝統芸能館=長崎市南山手町

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