末吉益雄教授に聞く 豚コレラ26年ぶり発生

 国内で26年ぶりに豚コレラが発生し、中国ではアフリカ豚コレラ(ASF)も続発している。いずれも人には感染せず、感染した農場の豚肉が市場に出回ることはないが、万が一発生すれば畜産王国・宮崎を揺るがしかねない。家畜の疾病や対策に詳しい宮崎大産業動物防疫リサーチセンターの末吉益雄教授に、特徴や防疫対策について聞いた。 -豚コレラとASFの違いは。 「ウイルスは異なるが、いずれも豚やイノシシが感染する伝染病。ウイルスは感染した家畜との直接的な接触や排せつ物によって広がり、家畜の血液や臓器など全身に入り込む。ASFはダニの媒介によっても拡大する。40度以上の高熱や食欲不振、高い確率で死ぬなど症状は類似している。ただし、豚コレラにワクチンはあるが、ASFにはない」 -国内へのASF侵入リスクは。 「海外と人の行き来や物流が活発化することで、空路だけでなく海路からのウイルスの侵入も考えられる。ウイルスは塩漬けなどの加工品でも、中心部分まで70度30分以上または80度3分以上、加熱処理しなければ、半年以上も感染力を失わない。ウイルスに汚染された食品を人間が食べても感染しないが、加熱不十分の食べ残しを豚やイノシシが食べれば、感染拡大につながる恐れもある」 -ウイルス侵入を防ぐために私たちができることは。 「豚コレラもASFも基本的な防疫対策は同じ。水際防疫を徹底し、侵入した場合は早期発見し、初動防疫で封じ込める。口蹄疫やPED(豚流行性下痢)の防疫で使うのと同じ消毒薬で、十分効き目はある。農家ら関係者の防疫意識は高い。県民も消毒に協力し、海外旅行から帰国する際は絶対に食肉加工品を持ち込まないなど、一人一人が防疫意識を高く持ってほしい」

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