住友電工、ハーネスの生産効率引上げ AI・ロボットで倍の効率目指す

 住友電工では2022年度までの5カ年をめどに、自動車用ワイヤハーネス生産の倍の効率を目指す。上工程や検査工程にロボットやAI(人工知能)技術を導入。現行の半分以下の人手で生産ができる技術の確立に取り組む。今後は5千人以上の工場を対象として積極的に自動化を進める方針。世界的に自動車生産台数が増え、中長期的にハーネス需要が拡大する見通し。その中で増員を極力抑えながら生産数量を拡大できるため、コスト抑制につながる。

 ワイヤハーネスは電線やコネクタを人手で自動車の回路として組み立てる製品で、労働集約性が非常に高い。海外拠点で高騰する人件費への対応が構造的な課題となっており、同社では人員確保がしやすい地域に生産シフトするなどの方策と併せて技術力を生かした製造現場の効率化にも力を入れている。

 上工程では電線の切断や端子との接続、コネクタへのセットなどをロボットの導入により自動化。現在「東南アジアや中国の工場に自動化設備の導入を進めている」(井上治社長)。上工程の自動化は自動車の電装化や軽量化によって加速する電線や端子の細径・小型化への対応でも効果を発揮する。

 検査工程では作業者による検査と併せて、AIや画像分析の技術を活用。良品の画像データを集め不良品を判別するなどの検査技術の開発に、IoT研究開発センターなどの知見も生かしながら取り組んでいる。井上社長は「5千人以上の人員規模のある工場で積極的に効率化に貢献する設備を入れ、人員増の抑制に対応してきたい」と話している。

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