元プロの指導法を教員に伝授 小中学校に定着しつつある野球の存在

「第7回教員のための『ベースボール型』授業研究会」が開かれた【写真:広尾晃】

ソフトボールの宇津木元日本代表監督も視察

 8月20日、埼玉西武ライオンズの本拠地、メットライフドームで「第7回教員のための『ベースボール型』授業研究会」が開かれた。

 これは、NPBが、2011年より小学校教育に「ベースボール型」の体育授業が必修となったことを受けて、指導法に不安のある教員に「捕る・投げる・打つ・走る」などの基本動作や、簡易化したゲームの進め方等を知ってもらうことを目的として開催しているもの。2012年からスタートし、今年で7回目となる。一般社団法人日本野球機構(NPB)が主催し、一般社団法人日本プロ野球選手会が共催している。

 今回は全国から213人の教員が参加、NPB側からは、阿部俊人(元楽天)、石井丈裕(元西武)、内藤尚行、徳山武陽(元ヤクルト)、倉俣徹(現ジャイアンツアカデミー校長)、阿南徹(元巨人)、武藤一邦、小林宏之、長崎伸一、塀内久雄、伊藤義弘(元ロッテ)、畠山準(元横浜)、大久保勝信(元オリックス)、本間満(元ソフトバンク)の講師陣が教員を指導した。

 また、会場にはソフトボールの宇津木妙子元日本代表監督も姿を見せ、実際にウォーミングアップやボール投げに参加するなど、普及活動の実際を視察した。

実際に講師陣が小学生に教える「模擬授業」も導入

 この研究会の大きな特色は、教員への実技指導の前に、実際に小学生(3年生から6年生を対象)に対して、講師陣が「ベースボール型授業」をやって見せる「模擬指導」を導入していること。

 千葉ロッテマリーンズのマリーンズアカデミー・武藤一邦ヘッドコーチは、「これまで、先生方からどういう風に授業を進めていいかわからない、という声をたくさんもらったので、実際に子供たちを教えているところを見てもらった方がいいと考えた」と話す。

 午前中は、講師が、子供たちにボール投げ、ゴロキャッチ、ティーバッティング、ミニゲームなど一通りを指導。これを教員たちが見学した。

 午後からは6つの班に分かれて、午前中に子供たちが体験した授業内容を実際に教員たちが体験した。

 今回は、5つの実技に加えて、「座学」も実施された。スタンドで、千葉ロッテの武藤一邦コーチと、読売ジャイアンツ・ジャイアンツアカデミーの倉俣徹校長が、交互に担当。教員の質問に答えた。

 この背景には、「ベースボール型」の体育授業が必修になって7年が経過し、実際に授業をやった経験のある教員が増えていることがある。授業を行う上での疑問点を投げかけたり、アドバイスを求める質問が相次いだ。

 NPB野球振興室によると、応募・参加者数はこれまでで最多。教員の反応も年々よくなっているとのこと。NPB野球振興室は、全国各地に出張しての授業研究会も開催している。地道な活動だが、小中学校に「野球」が少しずつ定着しつつある。(広尾晃 / Koh Hiroo)

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