3部門で金賞のカレーパン 川崎のベーカリー、「地元のため焼きたい」

 店先で焼きたてのパンをほお張る親子連れに笑顔が広がる。東急東横線元住吉駅から徒歩2分、川崎市中原区にあるベーカリー「Pan de Pu-Pu(パンドププ)」で販売するカレーパンが、日本カレーパン協会主催の「カレーパングランプリ2018」の3部門で金賞に輝いた。店長の内田高広さん(38)は「これからも地元のためにパンを焼きたい」と決意を新たにしている。 

 ウェブ投票の結果、8月に発表された「カレーパングランプリ」。人気商品のバターチキンカレー(税込み172円)が「東日本焼き部門」で3年連続、自家製こだわりカレーパン(同)が「東日本揚げ部門」で2年連続で金賞を獲得した。さらに新設された六甲バター(神戸市)の「Q・B・B」ブランドの業務用チーズを使ったコンテストでも、アフリカンカレーパン(同324円)が金賞を受賞した。内田さんは「全国のお店の中からお客さんに投票してもらった結果で、素直にうれしい」と喜んだ。

 バターチキンカレーは、老若男女に幅広く好まれる味付けで、2004年の同所でのオープン以来、根強い人気を誇っている。こだわりカレーパンは、外側はサクッと、内側はもちっとした食感をイメージした生地が自慢。カレーは母久美子さんがスパイスを調合して仕上げている。きつね色に揚がった衣と、中のカレーの濃厚な味わいが絶妙だ。

 アフリカンカレーパンは、内田さんが一から手掛けたオリジナル商品。激辛カレーに、地中海沿岸部で使われる香辛料「ハリッサ」で香りと辛さも加えた。見た目も骨付き肉をイメージし、「人を驚かせたい」との思いを込めた。通常よりも2倍近く仕込みの時間がかかるため、土曜のみ10個の限定販売だが、すでにファンを獲得しているという。

 約20年にわたって横浜に店を構えていたが、04年に久美子さんの故郷である中原区に移転。これを機に父文男さんから店長を任された。手頃な価格と確かな味で、親子連れや地元で働く人たちが集う、地域に愛されるパン屋になった。

 カレーパン人気もあって、イベントでの出店依頼も増えているというが、内田さんはおごることなく足元をしっかり見つめている。「商品は誰のために作っているのか。名前が売れたらいいというものではない。一日一日を丁寧に、手を抜くことなくパンと向き合う。だから、お客さんにも来てもらえる」

 きょうも、真摯(しんし)にパン作りに励むベーカリーからは、食欲をそそる香ばしい匂いが広がっている。

 営業時間は午前9時~午後7時。日曜と第3月曜は定休。問い合わせは、同店電話044(433)4567。

3部門で金賞を獲得した自慢のカレーパンと、店長の内田高広さん=川崎市中原区の「Pan de Pu-Pu」

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