腸管出血性大腸菌感染 流行ピーク 県「しっかり手洗いを」

 腹痛や下痢の症状が出るO157を中心とした腸管出血性大腸菌の感染者数は9月にピークを迎えることが多い。抵抗力の弱いお年寄りや子どもが感染すると脳症などの合併症を引き起こす恐れがある。長崎県は「調理や食事の前はしっかり手洗いを」と呼び掛けている。
 県医療政策課によると、腸管出血性大腸菌は、菌が付着した飲食物を食べるなどして体内に入って感染、発症する。体内の菌が毒素を出し、腹痛や下痢、出血を伴う腸炎などを引き起こす。患者の便から二次感染することもある。潜伏期間は2~7日が多い。
 気温上昇に伴い菌が活性化すると考えられていて、感染者は例年、6~7月ごろから確認され、11月ごろまで続く。県が発表した患者数はおおむね年間20件台で推移している。
 今年1~8月末までに公表された県内の患者数は14人。うち半数が10歳未満の子どもだった。9月に入り既に5人が発症している。
 一方、ここ10年で最多の患者を確認した2013年は、8月末時点で今年とほぼ同じ13人だったが、9月1人、10月7人、11月10人、12月5人と増え、年間で36人に達した。
 今年の感染者数が例年並みにとどまるか、13年を上回るかは今後の予防次第だ。県は「ドアノブやテレビのリモコンなども消毒用アルコールなどで除菌」「肉や魚、野菜などの生鮮食品は賞味期限を守り、十分に加熱する」などの予防策を挙げている。

© 株式会社長崎新聞社