丹下太鼓道場=40周年記念公演に300人=魅せる太鼓を目指して研鑽=三味線、タップダンスの共演も

出演者全員でフィーナーレを飾った

 コロニア最古の少年太鼓隊に始まり、〃魅せる太鼓〃を目指して40年――丹下セツ子太鼓道場(梶原アウミル代表)は「第8回発表会」を2日、宮城県人会で開催した。舞台は創立40年の歴史を紐解くかたちで構成され、様々な要素を取り入れ独自に発展を遂げてきた丹下道場の門下生らによる圧巻の演奏に、およそ300人の来場者で満杯になった会場が熱狂した。

 40年前、ガルボン・ブエノ街を歩いていた丹下さんが、ミニ着物店から子供達が太鼓を叩いている音を耳にしたことから始まった。祭で太鼓が叩かれることはあっても、独立した太鼓演奏はまだない時代だった。
 「太鼓を習いたいか」。丹下さんの問いかけに二つ返事で答えた子供達の両親の承諾を受け、メンバー5人からなる「丹下セツコ少年太鼓隊」が創設された。
 丹下さんが子供に太鼓の基礎的な叩き方を教えるため作曲した「祝い」で発表会は幕開けした。当時11歳だった初期メンバー、創設以来太鼓と共に人生を歩んできた浜崎芳一さん(51、二世)らが演奏した。
 「初めは太鼓を貸してもらって練習した。今日があるのは、これまで活動を支えてくれた皆さんのおかげ」と丹下さんは往時を振返る。周囲からの支援を得て催し事で披露するうち、生徒は次々と増えていった。
 第二幕では、同道場の特色となる助六流の曲を演奏。これは東京の盆太鼓スタイルであった斜め台による打法を特徴とするもの。「助六太鼓」創始者である今泉豊家元と日本で知り合って、丹下さんは02年に導入。04年にはマリンガ勢至丸太鼓にも指導を始め、当地で浸透していった。
 「太鼓を叩く側が満足するのではなく、お客さんがどう思うか。ショーとして〃魅せる太鼓〃ではなくては」――そんな師の志を受継いだ梶原代表のもと、10年からは新たな道を歩み始めた。
 そんな独自の発展を遂げてきた演奏を見せたのが第三幕だ。海藤司三味線教室で学んだ生徒が三味線や笛を取り入れた「ソーラン節」。タップダンスによる西洋のリズムを取り込んで和洋折衷を試みた「パノラマ」に加え、提携関係にある担ぎ太鼓を特徴とするサンベルナルド気炎太鼓の友情出演による「大晦日」など、次々と繰り広げられる〃魅せる太鼓〃に会場は熱気を帯びた。
 最後は全員で「夏祭り」を演奏。出演者がどんどん入れ替わる見応えある演奏で会場は熱気に包まれ、拍手喝采で閉幕した。
 浜崎さんは「太鼓を教えたいという先生の情熱が何より嬉しかった。あれからあっという間に40年が経ってしまった。日系人には日本文化を忘れないで欲しい。自分に子供は居ないが、次の世代の若者に大切に伝えていきたい」と語った。
 丹下さんは「今回は観客の半数以上が伯人だった。楽しんでいただけて何より。私が死んでも、ずっと道場が続いて欲しい」と目を細めた。

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