秋告げるオレンジ色 ムジナノカミソリ開花

 国内で長崎県内の一部にだけ自生し、長崎県の絶滅危惧種リスト(レッドリスト)に掲載されている「ムジナノカミソリ」が、対馬市内で鮮やかなオレンジ色の花を咲かせている。

 対馬市によると、ムジナノカミソリはヒガンバナ科。花びらの長さは5~6センチで、8~9月に開花する。国内では宮崎県でも見られたが、現在は対馬と宇久島(佐世保市)など長崎県内だけに自生。長崎県のレッドリストは絶滅の危険が増している「絶滅危惧Ⅱ類」に分類している。

 「ムジナ」はアナグマなどの俗称。葉が鋭い形をしているため「カミソリ」と呼ばれるようになったと考えられている。同じヒガンバナ科のキツネノカミソリは、おしべが花びらからほとんど外に出ないが、ムジナノカミソリはおしべが花びらより長い。

 対馬で最も広い平野が広がる上県町佐護地区では水田のあぜなどに群生。同地区の農業、春日亀(かすがめ)清さん(49)は「この花が咲き、ヒガンバナも咲き始めると、いよいよ稲刈りの時季。今年はまずまずの収穫になりそうだ」と話した。

田んぼのあぜ道に咲いたムジナノカミソリ=対馬市上県町佐護

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