地引き網、親子ら体験 平塚、漁協が企画

 地元の漁業に親しんでもらおうと、今は途絶えた地引き網による漁を体験する催しが15日、平塚市高浜台の湘南ベルマーレひらつかビーチパークで行われた。親子連れ約60人が小雨の中、息を合わせて網を引き揚げ、「大漁」に歓声を上げた。

 平塚市漁業協同組合によると、平塚の海岸では江戸時代後期に地引き網でシラスなどを捕っていた。しかし、戦後に人員不足や機械化が進んだことから衰退。2006年には観光用に行われていた地引き網を含めて平塚からは姿を消した。現在は、刺し網漁や定置網漁などが主流になっているという。

 催しは「タイムスリップして昔の漁業を知ってほしい」と同漁協などが企画。ビーチスポーツの施設で地引き網の体験イベントを行うのは初めて。

 全長約100メートルの網を船で沖合約200メートルにあらかじめ設置し、砂浜までロープを伸ばした。かつて地元の地引き網漁で使われていた「こいなーほらえん」という掛け声を上げながら、参加者はロープを引っ張り汗を流した。

 スズキやカイワリ、ショウサイフグ、ヒイラギなど大小数十匹が網に掛かり、最初は恐る恐るだった子どもたちも生きた魚に興味津々の様子で、笑顔を見せた。

 平塚市内から参加した小学3年生の男児(9)は、土産に大ぶりのイトヒキアジを手にして「網は重くて大変だったけど、ご褒美は大きくてよかった」と喜んだ。

沖から地引き網を引き揚げる子どもたち =平塚市高浜台の湘南ベルマーレひらつかビーチパーク

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