骨髄移植のドナーになる 横浜で当事者ら体験語り啓発

 白血病などで骨髄移植が必要な患者への提供者(ドナー)を増やそうと、提供体験者や移植経験者が語るシンポジウムが16日、横浜市神奈川区のかながわ県民センターで開かれた。骨髄バンクを介して骨髄提供した俳優の木下ほうかさんらが登壇し、ドナー登録への理解を呼び掛けた。

 啓発ポスターを見たのをきっかけに「ふと、やってみようかな」とドナー登録したという木下さん。登録から5年後に提供依頼の通知を受けたときは、仕事への影響を考えて悩んだというが「自分の体の一部が、必要にしている誰かの役に立つのなら」と決断し、2009年に骨髄提供した。

 壇上では提供した患者から届いた手紙を朗読し、「実際に提供するかどうかは、その時に考えられる。ひとまず登録だけでもしてみてほしい」と呼び掛けた。

 大学在学中に急性リンパ性白血病を発症した横浜市の会社員池谷有紗さん(27)は、骨髄移植を受けた自身の体験を紹介。「自分はいつ死んでもおかしくなかったが、顔も知らないドナーさんが手をつかんでこの世界に戻してくれた。皆さんに心から感謝している」と頭を下げた。

 日本骨髄バンク(東京都)によると、全国のドナー登録者は約48万8千人で、県内では約2万1千人。移植には白血球の型が適合するなどの条件があり、希望者の6割ほどしか移植を受けられていないという。シンポジウムの前には東海大医学部の矢部晋正教授が講演し、「若年層のドナー登録をどうやって増やすかが課題だ」と指摘した。

 シンポジウムは患者や家族のサポートなどに取り組むボランティア団体「神奈川骨髄移植を考える会」と県の共催で、約180人が参加した。

俳優の木下ほうかさんらがドナー登録への理解を呼び掛けたシンポジウム =横浜市神奈川区

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