宇宙への尽きない探究心 JAXAで研究の東海大学院生講演

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)で月の研究を続ける東海大学大学院2年生の郭哲也さん(24)=相模原市在住=が15日、同大湘南キャンパス(神奈川県平塚市北金目)で講演を行った。月内部に巨大な空洞が存在することを証明して世界的に注目された。論文の筆頭著者となった郭さんは「興味のあることには、自分から一歩を踏み出さないといけない」と呼び掛けた。

 郭さんは同大工学部4年生のときに、受託指導学生としてJAXA相模原キャンパス(相模原市中央区)内の宇宙科学研究所に派遣され、研究活動を継続している。月を周回する探査衛星「かぐや」から送られてくる観測データの解析などを行っている。

 かぐやの観測により、これまで月面のマリウス丘には深さ50メートルほどの縦穴が確認されていた。郭さんらの研究チームは、この縦穴について月表面に照射した電波レーダーの反射波を調べて追究。その結果、縦穴付近の地表から200メートルほどに全長約50キロ、幅約150メートルに及ぶ地下空間が広がっていることが分かった。過去に溶岩が流れてつくられた地形とみられ、月の起源を探る手掛かりになる。

 講演は県内在住の同大の保護者を対象に行われ、郭さんはこれまでの研究成果を報告。郭さんは発見した月の空洞内に「将来的に都市規模の基地を造ることもできる。今後も探査領域を広げていきたい」と意気込みを語った。

 講演後には同大の山田清志学長と対談。小学生の頃から宇宙が好きだったという郭さんは「月は身近な存在。太陽系の外には地球に似た惑星もある。探究心が湧いてワクワクする」と笑みを浮かべた。これまでの学びについても振り返り、「大学に入ってからはさまざまな研究分野に取り組み、伸び伸びと勉強ができた」と話した。

東海大の山田清志学長と対談し、JAXAで取り組む月の研究について解説する同大大学院の郭さん(右) =平塚市北金目の同大湘南キャンパス

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