WTCR:元DTM王者ティモ・シャイダーがミュニッヒ加入、後半戦でシビックをドライブ

 WTCR世界ツーリングカー・カップに参戦中のミュニッヒ・モータースポーツは、2018年シーズン残りの4戦に向け、DTMドイツ・ツーリングカー選手権で2度のチャンピオンを獲得した経験を持つティモ・シャイダーを起用すると発表した。レギュラーのエステバン・グエリエリ、ヤン・アーチャーのドライバーズタイトル獲得をアシストすべく、3台目のFK8ホンダ・シビック・タイプRを託すこととなる。

 2008年と2009年のDTMで連覇を果たし、ツーリングカーの世界で確固たる実力を証明してきたシャイダーが、2018年から始まったTCR規定シリーズの最高峰WTCRに初参戦する。ここまでの欧州ラウンドで3台目のマシンをドライブしていたジェームス・トンプソンのマシンを引き継ぎ、残りのシーズンを戦うこととなったのだ。

 開幕から5戦という契約で、第5戦ヴィラレアルを最後にチームを離れたイギリス人の名手に代わり、新たにミュニッヒに加入した39歳のドイツ人は2016年までDTMで活躍。引退後は同じくミュニッヒとのジョイントでWorldRX世界ラリークロス選手権にも挑戦し、セアト・イビーザRXスーパーカーやアウディA1、さらにMJPレーシング・チーム・オーストラリアのフォード・フィエスタRXスーパーカーEvo.3などをドライブしてきた。

 今季も引き続きラリークロスの世界に身を置き、新たにルノー・メガーヌR.S.RXスーパーカーを開発したGCコンペティション(GCK)のテストドライバーとして、イギリスのプロドライブとともに車両開発を担当していた。

 そんな経験豊富なシャイダーにとっても、TCR規定マシンと前輪駆動のツーリングカーは初めての体験になるという。

「長いキャリアを通じてどれほどの経験を積んでいたとしても、シーズン途中から新しいチャンピオンシップに参戦するのはハードなチャレンジになる」と慎重な態度をみせるシャイダー。

「でも、新しい挑戦が大好きな自分のキャラクターを活かして、できる限り良いリザルトを得るために最大限の努力をするつもりだよ」

■シャイダー「FFマシンが楽しみだし、マカオで走れるなんて最高」

「残念ながら残りの4戦は、どれも未経験のトラックばかりだ。でもチームからのサポートを得て、初体験になる前輪駆動ツーリングカーを楽しみたいし、なにより、ついにあの”マカオ”にデビューできるなんて最高だよね」

 ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツ・チームとはすでに契約を交わしており、その一環としてこの週末に開催されたWorldRX第9戦ラトビアのリガ・ラウンドにもエントリー。久々にセアト・イビーザRXスーパーカーのステアリングも握っている。

 チームマネージャーのドミニク・グライナーは、シャイダーの招聘でWTCRでのタイトル争いはより優位になるだろう、との期待を語った。

「そう、だからこそ彼を残り4戦のWTCRで起用することに決めたんだ。彼のパフォーマンスが我々のWTCRタイトルへのチャレンジを大いに後押ししてくれると信じている」

「また誰もがご存知のように、シャイダーはツーリングカーで素晴らしい経験を積み重ねてきたドライバーだ。そんな彼のメインフォーカスはマカオでのシーズンフィナーレ、ギア(・サーキット)になるだろう」

「そのため、ここからの中国2戦と日本ラウンド(寧波、武漢、鈴鹿)はその準備期間としても捉えている。すでに我々のマシンはロジスティクスの関係で中国へと向かってしまった後で、彼は一切テストをせずに本番を迎えることになるからね」

「そしてシャイダーとの間には、ラリークロスの現場で築いた揺るぎない信頼関係もある。だからこそ、我々のWTCRチームに起用するのはとても自然な成り行きで、完璧なフィットを見せるはずだよ」

 シャイダーのWTCRデビュー戦第7戦は中国の寧波インターナショナル・サーキットで9月28~30日に開催される。

© 株式会社三栄