紅葉? いいえ「ナラ枯れ」です 神奈川で集団枯死広がる

 あれ?もう紅葉と思ったら「ナラ枯れ」の疑い―。

 神奈川県内で昨夏、初めて確認された害虫によるコナラやミズナラなどの集団枯死が広がっている。県によると、今夏は箱根山地や三浦半島など県内16カ所で、調査中の樹木を含めて330本以上が確認された。原因は不明だが、県は「今夏の猛暑も被害拡大を促進したと考えられる」と分析している。

 ナラ枯れは、穿孔(せんこう)虫類のカシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」によって引き起こされる病気。菌が大量繁殖することで、樹木は根から水を吸い上げる機能を失い、2、3年で一斉に枯死してしまう。

 体長約5ミリのカシノナガキクイムシを発見するのは難しい。ただ害虫が入り込んだ樹木が7~9月に枯死する前、赤褐色に変色するため、里山など景観の異変に気付きやすい。

 県水源環境保全課によると、ナラ枯れは1990年度前後から、日本海側を中心に全国各地で目立ち始めた。県内では2017年度に6カ所で約240本の被害が初めて確認された。

 拡大を懸念した同課が市町村に監視強化を要請した結果、2年目の18年度は8月10日時点で16カ所で338本以上まで増えていた。17年度に確認された三浦半島や箱根山地の周辺部に加え、新たに秦野市、藤沢市や大磯町でも見つかった。

 被害の広がりを食い止めるには、早期発見や初期対応が重要になるため、県は実態把握を続けるとともに、薬剤注入や伐倒くん蒸などの防除事業に対する市町村への補助を18年度予算に盛り込んだ。

 同課は「山中だけでなく、身近な緑地・公園でも発生している。10~11月の紅葉までの時期は発見する好機なので注意して観察してほしい」と散策者らに被害情報の提供を呼び掛けている。

2018年8月に撮影された同じ緑地。拡大している様子が分かる(神奈川県水源環境保全課提供)

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