中国映画界のトップ女優、范冰冰(ファン・ビンビン)さんが公の場に姿を見せなくなっていることが国内外で話題になっている。巨額の脱税疑惑で当局に拘束されているとの見方も出ている。9月16日のファンさんの誕生日には、ネット上で「戻ってきて」「無事でいてほしい」とのファンの書き込みが相次いだ。投稿の多くが削除されているという。一連のニュースを見て、16年前の別の中国人女優のケースを思い出した。(共同通信=柴田友明)
1980年代のヒロイン
中国映画「芙蓉鎮」(謝晋監督)をご存じの方は中高年世代ならいるだろう。主役は劉暁慶さん。1980年代後半に日本でも放映され話題になった。芙蓉鎮は中国の文化大革命の時代、村落で豆腐料理屋を営むヒロインが政治運動にほんろうされ、逆境の中でひたむきに生きる姿に多くの人が感動した。劉さんはその後、「西太后」などに主演。映画界の第一人者として国際的に知られるようになった。
しかし、2002年7月に北京市公安局に脱税の疑いで逮捕された。劉さん自らが経営する会社を舞台に大がかりな脱税事件があったとされる。有罪が確定した後に、劉さんは芸能活動に復帰したが、往年の人気は取り戻せなかった。当時、共同通信など各メディアは党大会前に「一罰百戒」として、当局による取り締まり強化の具体例として報じている。
出演契約めぐる…
今回のファン・ビンビンさんのケースでは、中国のテレビの人気キャスターが5月にファンさんが巨額の脱税にかかわっているとネットに投稿。出演契約をめぐる内容で、税務当局に報告された文書と実際の出演料、報酬と相当なギャップがあったという「二重契約」報道がされている。
6月にファンさんはブログを更新した後、消息が分からなくなった。
ファンさんは10代で芸能界にデビュー。米経済誌フォーブスで「世界で最も稼いだ女優」の1人に選ばれている。実態が明らかになるのはいつか…