分身ロボット、県特別支援学校で導入 病室の子どもを代弁

 県教育委員会は、病気などで学校に通えない子どもが、教室に行かなくてもその場にいる感覚を持てる「分身ロボット」を導入する方針を明らかにした。病室にいる子どもがタブレット端末を操作し、教室内のロボットを通じて意思や感情を示すことが可能。県立こども医療センター(横浜市南区)内の県立横浜南養護学校で月内から実証実験を行い、本格導入につなげたい考えだ。

 分身ロボットは、日常的な通学が難しい児童・生徒のための支援ロボット。自宅や病室などから端末を操作することで、教室内のロボットが手を挙げたり、周囲を見回したりして子どもの意思を代弁する。

 県教委特別支援教育課によると、県内ではこれまでに特別支援学校2校で、入院中の児童・生徒の学習支援を目的に、インターネットを介して病室と教室をつなぐシステムを活用してきた。だが、パソコン画面を通じて教室にいる子どもと同じ授業が受けられるものの、自分の意思を表現しながら能動的に授業に参加するのは困難という。

 一方、分身ロボットは首や手を動かすことで悩んだり、恥ずかしがったりといった感情表現もできるほか、マイクを通して発言も可能。友達と一緒に授業を受ける感覚を共有でき、学習意欲の向上にもつながると期待される。

 県教委は1カ月程度の実証実験を行い、子どもの反応などを踏まえ、本格導入の可否を決める方針。桐谷次郎教育長は「学習活動にどのような成果が得られるのか検証し、分身ロボットの導入を検討していく」と述べた。

 19日の県議会本会議で、鈴木秀志氏(公明党)の一般質問に答えた。

神奈川県立こども医療センター

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