小学生クラブ、ホッケー全国一 川崎・中原区「楽しい居場所に」

 9日に東京都八王子市で開催された「第7回全国小学生&中高生ネオホッケー大会」(日本フロアボール連盟主催)で、川崎市中原区を拠点に活動するスポーツ少年団「すみよしユニバーサルホッケークラブ」の4年生チーム(10人)が小学生低学年混成の部を制して2度目の優勝を果たした。地域一丸で切磋琢磨(せっさたくま)する子どもたちを支え、栄冠をつかんだ。

 男女がともにプレーする低学年混成の部には、全国の33チームが出場。同クラブの4年生チームは決勝で、新座ハイスティッカーズC(埼玉県)と激突した。先制点を許す苦しい展開ながら、呉祐樹君(10)=下沼部小=のゴールで追い付き延長戦に突入。最後はシュートのこぼれ球を金山心美さん(9)=東住吉小=が押し込んだ。2-1で新座を下し、第1回大会以来の頂点に立った。金山さんは決勝弾を「いろんな人に支えられた得点」と表現。「とにかく気持ちがよかった」と感慨に浸り、7試合を戦い抜いた仲間と喜びを分かち合った。

 同クラブは2003年、地域のこども文化センターでのミニホッケー活動を引き継ぐ形で発足した。現在は小学生約40人、中学生以上約10人が所属。週末に東住吉小(中原区)の体育館で練習に励んでいる。

 マイナーな競技のため、クラブ員の確保が課題。それでも、保育園・幼稚園時代のつながりやクラブ員のきょうだい関係、口コミによる評判などで一定数を維持している。サッカーや野球など他のスポーツ活動との掛け持ちも自由で、現在は近隣の八つの学校からクラブ員が集っている。

 サッカーもしているキャプテンの山下賢剛君(9)=東住吉小=は「ネオホッケーとサッカーのどちらも好き。みんなで協力してプレーするのが楽しい」と話す。自由に楽しく練習に取り組む姿に、同クラブの山下孝子代表は「来る者拒まずで、怒ることもしない。とにかく学校以外にも楽しい居場所をつくりたくて」と理念を語り、子どもたちと一緒にボールを追い掛ける。

 発足から15年がたち、クラブの卒業生が室内ホッケーの「フロアボール」日本代表に選ばれるなど、地域に根差した活動が好循環を生み出している。14日の練習には、6月に行われたフロアボールのアジアカップに出場した同クラブOGの山本玲奈さん(20)=神奈川大2年=が駆け付けた。山本さんは「自分も小学生の頃に教えてもらったから。憧れの存在になれていますかね」と笑う。

 クラブの子どもたちの夢も膨らんでいる。幼稚園年長からネオホッケーに親しむ高野弘望さん(9)=今井小=は「フロアボールが五輪種目になるという話もある。これからも頑張って五輪の舞台に立ちたい」と目を輝かせる。

 仲間と競い合い、世代間交流も生まれる拠点は、子どもたちにも卒業生にも、そして支え手にとっても大切な場所になっている。

 ◆ネオホッケー スウェーデン発祥の室内ホッケー「フロアボール」を簡易的にしたスポーツ。氷上のアイスホッケーをより手軽に楽しめるように考案された。タックルなどの接触プレーを厳しくし、子どもでも安全にプレーできるようにした。1チーム6人で対戦。空気抵抗でスピードが出にくいプラスチック製のボールを、同製のスティックで相手ゴールに入れて得点を競う。フロアボールは北欧で人気があり、2020年東京五輪で追加種目の候補にも挙がった。

スティックを器用に扱い、真剣な表情で練習に取り組んでいる=川崎市中原区の市立東住吉小学校

© 株式会社神奈川新聞社