精神障害者や精神疾患の患者に関する社会福祉業務、生活支援に携わる精神保健福祉士(PSW)が集まり、役割や課題について考える全国大会が14、15の両日、長崎市で開かれた。日本精神保健福祉士協会(東京)の柏木一惠会長は基調講演で、依存症、自殺といった心の健康を巡る問題が深刻化している現状に対し「(PSWは)ライフステージに応じた課題に対応できる実践力の習得、予防的観点からの普及啓発に努めて」と呼び掛けた。
同協会主催の第54回全国大会・第17回日本精神保健福祉士学術集会で、長崎県開催は初。約千人が参加した。
PSWは約20年前、精神科病院の長期入院者の社会復帰支援を目的にできた国家資格。近年は高ストレス社会に起因する心の健康の問題が多様に顕在化している中で、PSWの活動領域も拡大している。今大会は、こうしたメンタルヘルスに関する対応を中心テーマに開いた。
14日は基調講演後、PSWに期待される役割に関するシンポジウムがあり、県内外の識者ら3人が登壇。西脇病院(長崎市)の西脇健三郎理事長は、社会を支える有能でまじめだがプライドが高い人が、うつ病や依存症に陥りやすい近年の課題を指摘。「“プライドの病”に対峙(たいじ)しなければならない時代」と強調した。
久留米大の門田光司教授は、学校現場で児童生徒の心の問題に対処するスクールソーシャルワーカー(SSW)の研究者。「PSW資格を持ったSSWが増えていくことが期待される」と述べた。