県内暴力団員、8年前から半減 離脱者の就労支援に尽力

 神奈川県内の暴力団の構成員と準構成員が今年1月時点で1790人となり、2010年同期に比べて半減したことが、県警の統計で分かった。ただ、組織を抜けた人たちのその後の生活実態は詳細につかめないのが実情。再び組織に戻らないようにするため、関係機関は離脱した人の就労支援に取り組んでいる。

 県警は県内の暴力団の構成員(暴力団員)・準構成員を登録している。統計によると、10年の暴力団員と準構成員は3650人に上ったが、14年には3千人を割り、17年は1820人に減少した。県警は「暴力団対策法や暴力団排除条例に基づく取り締まりの強化に加え、官民挙げた排除運動の高まりが背景にある」とみて、さらに組織の壊滅に向けた取り組みを推進する方針だ。

 一方、組織を離れた人たちを再加入させないための方策が課題となっている。

 県警などによると、17年以降に限っても、少なくとも20人が組織に再び戻ったことが分かっている。捜査関係者は「定職に就けず、社会に居場所を見つけられないまま暴力団に戻ってしまったり、罪を犯して逮捕されたりするケースが少なくない」と明かす。

 再加入を阻止するため、関係機関の就労先確保に向けた模索も始まる。法務省は元受刑者らの就労支援を目的に、コレワーク(矯正就労支援情報センター)を設置している。

 同省によると、コレワークは刑務所や少年院に入った人の資格や職歴などの情報を一元的に収集・管理。元受刑者らを働き手として求める事業者に対し、照会内容に合致した人の情報を提供して双方を結びつける役割を果たしている。

 コレワーク東日本(さいたま市)、同西日本(大阪市)が16年11月に開設されて以降、約300人の就労につながったという。

 県暴力追放推進センターでも元暴力団員らから就職の相談を受け付けている。ただ、関係者からは「『放っておいてくれ』という人もいて、継続的に関わることは容易でない」「暴力団の過去を隠そうと、県警や暴追センターとの接触を避けたい心理も働いている」との声が漏れる。

 それでも同省は「職に就いていない人の再犯率は有職者の3倍以上とのデータもある。立ち直りのために就労は不可欠。就労支援の仕組みを確立し、広げていくことが重要」と指摘している。

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