相模川の天然アユ、市場へ 釣り人から買い取り出荷

 自家消費されることが多い相模川の天然アユをできるだけ多くの消費者に食べてもらおうと、県内水面漁業協同組合連合会(山口芳郎代表理事会長)は今シーズン、相模川や中津川で釣り上げた天然アユを釣り人から買い取り、横浜南部市場へ出荷する試みを初めて実施した。7月29日から9月16日まで買い取りを行い、7回にわたり計約15キロのアユを出荷した。台風による増水が続いて買い取り量が少なかったが、将来的には数トン単位の出荷を目指している。

 「相模川・中津川『天然あゆ』の集荷出荷システム実用化試験事業」として実施した。同連合会によると、両方の川のアユの年間資源量は400トン弱に上るという。「ほとんどは釣り人の自家消費や贈答用として使われる。広く市民の食卓に上げるため、市場に出荷する流通の試みを始めた」と山口会長。

 今シーズンの相模川は、過去最多の約4600万匹の天然アユが遡上(そじょう)している。だが、相次ぐ台風などによる増水でシーズンの約3分の1は釣りができず、買い取り量は約15キロにとどまった。

 同連合会厚木あゆ種苗センター(厚木市三田)と高田橋友鮎販売所(相模原市中央区)で買い取りを実施した。買い取るのはさおで釣った体長14センチ以上の生きたアユ。大きさによって買い取り価格は異なるが1匹200円未満。2晩程度きれいな水に泳がせて内臓の砂を抜いた後、厚木あゆ種苗センターで氷入りの発泡スチロール箱に納め、週2回ペースで南部市場に出荷した。箱に「相模川の天然鮎 釣り」と記している。市場からはデパートなどに販売されたという。

 山口会長は「多くの消費者に天然アユを知って味わってもらうとともに、釣り人には買い取りによって収入を得てもらえる。そのため、さらに多くの釣り人が相模川に訪れてもらえれば」と狙いを話す。来シーズンはさらにPRに力を入れ、数多くの釣り人から生きた天然アユを買い取りたい考えだ。

出荷用に箱詰めした相模川の天然アユを手にする山口芳郎県内水面漁業協同組合連合会会長=厚木市三田

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