製造業の安全対策、官民協議会が「リスク管理」の新手法を開発

 業種の垣根を越えて製造業の安全対策を検討している「製造業安全対策官民協議会」(会長・福井裕之UACJ常務執行役員)は、労働災害のリスクを検証・評価するリスクアセスメント手法で、意図的なルール違反やヒューマンエラー(人為的過誤)のリスクを把握できる新しい手法を開発した。意図的なルール違反などが災害につながるケースが多いと指摘される中、従来のリスクアセスメントにはこうしたリスクを検証できる手法がなかった。官民協議会は新しい手法を参加業種で共有し、安全対策に役立ててもらう。

 経済産業省などが21日開いた協議会で、明治大学の向殿政男名誉教授をリーダーとするサブ・ワーキンググループ(WG)が開発の経緯などを報告した。

 同WGは、協議会に参加する各業界団体から意図的なルール違反、ヒューマンエラーに起因する災害事例259件を収集・分析。それを49のパターンに類型化し、リスクを把握する具体的手法を開発した。

 この手法を活用すれば、リスク把握が容易になり、対策をとりやすくなる。WGは新しい手法について「今後、トライアルを行い、この手法の有効性や課題などを検証する」としている。また、危険性や有害性の特定など現行のリスクアセスメントが扱っていない項目についても手法の開発が可能かどうか検討する。

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