【平成の長崎】かわいそう…雄猿が自分で体毛抜く 平成7(1995)年

 長崎県長崎市の稲佐山モンキーハウスでここ数年、雌不足のストレスから自分の体毛を抜く雄猿が増えている。地肌をさらけ出した哀れな姿に、訪れた長崎市民も同情の声しきり。
 稲佐山公園管理事務所によると、猿の脱毛が目立ち始めたのは2、3年前から。現在飼育している18匹(子猿含む)のうち、雄雌約10匹の脱毛を確認。丸裸状態の猿も多く、特に大人の雄猿たちが盛んに自分の体毛を抜いているという。
 昨年からエサに果物や煮干しを取り入れてみたが効果が表れず、2月、佐世保市亜熱帯動植物園に相談。雌猿不足によるストレスが脱毛行動の原因とアドバイスされた。16年前の開園当時は雄7匹に雌3匹。今は雄14匹に雌4匹と事態は深刻化するばかり。
 モンキーハウスを見物する子供たちや観光客からは「かわいそう」との声が高まっている。大分市の高崎山自然動物園(生息数2079匹)は「雄1匹に雌5~14匹が正常な群生。雌不足による雄猿の脱毛行動は珍しく、極度のストレス状態に陥っているのでは」と指摘する。
(平成7年3月15日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

雌不足のストレスから自分の体毛を抜き、地肌をさらけ出している雄猿=長崎市稲佐山公園

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