「木の駅たかき」開始から2年  地元に好循環

 山で間伐後に残っている低質木材を集め、地域通貨で買い取る長崎県内初のプロジェクト「木の駅たかき」の本格開始から2年。年間目標100トンを大きく上回る木材約500トンを出荷し、集荷に従事した人たちに対価として支払われる地域通貨「もり券」(1枚500円)の発行は5千枚を超えた。森林資源の有効活用による地域経済への還元という新しいモデルが、好循環を生み出している。
 「木の駅たかき」は、地元山林会などの森林所有者や長崎県、諫早市などでつくる実行委(増山忠男委員長)が企画。多良岳のヒノキやスギの間伐後に放置された木材を同市高来町内の集荷場に運び、大村市の木材チップ業者が買い取る仕組み。同業者が県外の木質バイオマス発電施設に売り、発電用燃料として再利用されている。
 取り組みは2016年3月のプレイベントを経て、同8月から始動。3~4カ月ごとに実施し、1回当たりの集荷重量は10~78トン。今年5月までの14回で約498トンを出荷、約268万円が同実行委に支払われた。
 同実行委は、この収益を基に森林所有者らが持ち込んだ重量に応じて「もり券」を発行。高来、小長井両町の市商工会加盟の二十数店舗で利用できる。集荷1回に付き数千円から1万~2万円分の「もり券」を手にする人もおり、理容室での散髪や飲食など地元商店街の活性化にも貢献している。
 増山委員長(84)は「険しい山から重い木を運び出すのは重労働だが、山をよく知る人たちが時間があるときに意欲的に行ってくれ、軌道に乗った。初めは赤字覚悟だったが、こんなに早く実績が出るとは予想していなかった」と話した。

「木の駅たかき」の仕組み
山林から運び出され、集荷場に積まれた木材=諫早市高来町(「木の駅たかき」実行委提供)
急峻(きゅうしゅん)な山林で木材を集め、運び出す関係者=諫早市高来町(「木の駅たかき」実行委提供)

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