【平成の長崎】映画「渚のシンドバッド」長崎ロケ快調 長崎市出身の橋口亮輔監督 平成7(1995)年

 長崎県長崎市出身の若手映画監督・橋口亮輔がメガホンを取る映画「渚のシンドバッド」の長崎ロケが進んでいる。長崎市内の高校に通う男女6人の青春群像を描いた作品で、長崎県内各地で撮影。7月末のクランクアップを目指し、一行は多忙なスケジュールをこなしている。
 「渚のシンドバッド」は新人監督の育成と発掘を目的に、東宝と「ぴあ」がこのほど設立した新レーベル「YES(ヤング・エンターテインメント・スクエア)」の提携作品の第一弾。
 橋口監督は1962年生まれ。森田芳光監督ら気鋭の映像作家を輩出した「ぴあフィルムフェスティバル」で89年度にグランプリを受賞、淀川長治らが才能を認めたデビュー作「二十才の微熱」(93年度ベルリン国際映画祭招待作品)の成功で、今回の起用となった。「渚のシンドバッド」は9月の東京国際映画祭に出品後、今秋をメドに劇場公開される。
 橋口監督自らの脚本。クラスのリーダー格で優しい浩之、彼に特別な感情を抱く修司、過去に深い傷を持つ転校生の果沙音、軽薄な不良のとおるら6人が、仲間と触れ合いながら自分の生き方を探し求めていく。同性愛も扱っているが、監督は「高校生のあるがままの姿を表現したい」と語る。
 オーディションで選ばれた主演者たちは、ほとんど映画初出演。修司役の岡田義徳は「監督の注文にこたえられるよう頑張る」、とおる役の山口耕史も「演技に専念したい」と熱がこもる。他に、浜崎あゆみらが出演。
 高校卒業まで長崎で過ごした橋口監督は「古里とは縁を切れない感情がある。長崎のたたずまいが持つ独特の雰囲気を撮りたい」と話している。
(平成7年7月19日付長崎新聞より)
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映画「渚のシンドバッド」の長崎ロケで出演者に演技指導する橋口亮輔監督

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