国連、SDGsのメディア協定を発足 朝日新聞や日テレも加盟

アントニオ・グテーレス事務総長 23日、国連本部 UN Photo/Mark Garten

国連は23日、SDGs(持続可能な開発目標)のさらなる推進を目指し、世界の31メディア・団体と連携して「SDGメディア・コンパクト」を発足した。日本からは朝日新聞、日刊工業新聞、日本テレビが参画。各メディア・団体は今後、SDGsに関連する社会課題を取り上げるなどコンテンツづくりで国連と協働するほか、国・政府の達成状況を注視するなど、SDGs達成に向けて世の中の動きを後押ししていく狙いだ。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)

今月18日にニューヨークで始まった国連総会。「SDGメディア・コンパクト」の発足式も同じく国連本部で行われた。国連の呼びかけで参画したのは、米ディスカバリーや欧州国際中継ネットワーク「ユーロビジョン」、インド情報放送省など欧米やアジア、アフリカ、中東などに拠点を置く31メディア・団体で、世界80カ国に数十億人の視聴者・読者を持つ。

チャンネルズ・メディア・グループ(ナイジェリア)のオルソラ・モモ会長は、「SDGsで掲げられている課題に関するコンテンツを充実させ、解決策を議論していく。必要ならば、政府が国民と世界に約束した目標の達成状況についてその責任を問いただす考えだ。メディアとして、SDGs達成のための役割を果たしていく」と設立メンバーを代表して宣誓した。「SDGメディア・コンパクト」は今後、加盟者を拡大していくという。

日刊工業新聞の総務局総務部の小松慎一さんは、「参画を検討したのは今年初旬。産業総合紙として、日本経済および日本企業の健全なる成長を後押しするのが使命のひとつ。SDGsのコンセプトは、これからの日本企業のあるべき姿と合致する。政府機関や企業、NPOなどに加え、メディアが主体的に参加し、運動を盛り上げる試みは非常に意義がある。社会の中に存在する一企業としての『社会的責任』」と参画の理由について説明した。

一方、国連もメディアが持つメッセージ性と影響力を通して、さまざまな分野のより多くの人に向けて行動を促したい考え。加盟メディア・団体は、SDGsに関するメディア・コンテンツや取材の機会が与えられる。国連は参画の度合いを測定するため、定期的にモニタリング・レビューを行う方針だ。

国連の苦しい財政状況が課題に

SDGsの関連会合UN Photo/Evan Schneider

国連本部で24日に開催されたSDGsの関連会合では、逼迫する国連の財政状況の改善が焦点となった。アントニオ・グテーレス事務総長は「SDGsを達成するには、資金調達・投資を増やすことが急務だ。SDGsへの投資は、未来への投資。そうすることで、誰一人取り残すことのない平和で安定し、繁栄を希求する世界が実現できる」と呼びかけた。

国連によると、SDGsを達成するには年間5―7兆ドル(564―790兆円)の資金が必要。財政状況の改善策として、各国がSDGsを踏まえた財務・経済政策を立案することや地域・国家レベルで財務戦略を強化すること、技術革新に力を入れることなどが挙げられた。

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