伝統野菜をスプラウトに 諫早農高・生物工学部が研究

 長崎県立諫早農業高の生物工学部(吉岡颯斗部長、9人)は、県内で古くから栽培されてきた伝統野菜をスプラウト(食用新芽)にする研究に取り組んでいる。商品化して知名度向上を目指し、農家が栽培を敬遠しがちな伝統野菜を次世代につなぎたい考えだ。
 伝統野菜とは、古くから栽培されてきた在来品種。京野菜の「聖護院かぶ」、江戸野菜の「練馬大根」などが知られる。
 スプラウトはモヤシやカイワレ大根など食用の新芽で、室内で手軽に栽培できる利点がある。同部は2015年から、「長崎紅(あか)大根」「雲仙こぶ高菜」「長崎赤かぶ」「長崎たかな」「長崎白菜(唐人菜)」「もちとうもろこし」の県内6種の伝統野菜をスプラウトにする研究に着手した。
 伝統野菜の種をスポンジ上に並べ、品種ごとに最も適した光量や温度、水分を調べる実験を重ねた。通常の露地栽培では収穫まで3カ月が必要だが、現在は種をまいて約1週間でスプラウトを収穫できるようになっている。
 今後は研究に協力してきたおかの食品(長崎市中里町)の岡野宏社長(57)の助言を受けてビタミンCやポリフェノールなどの含有量を調べ、商品化に向けて研究を進める。
 伝統野菜のスプラウトは独特の風味や香りがあり、サラダや吸い物にお勧めという。バイオ園芸科2年の吉岡部長(17)は「伝統野菜の知名度が上がり需要が増えれば、虫や病気に弱く手間とコストがかかり、栽培を敬遠していた生産者に興味を持ってもらえるかもしれない」と期待する。
 同部のスプラウトは11月17、18両日、同校で開く農文祭で販売する予定。

県伝統野菜のスプラウトを研究している生物工学部の部員=諫早農業高

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