海きらら イルカの「ニーハ」赤ちゃん出産

 長崎県佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)で27日、ハンドウイルカの「ニーハ」が雌の赤ちゃんを出産した。人工授精での出産は国内4例目。海きららでイルカの出産は初めて。
 海きららによると、25日午前、体温低下や乳溝の幅の拡張といった出産1~2日前にみられる兆候が確認された。スタッフは24時間態勢で監視。27日午前3時22分に破水。6時7分にニーハの生殖溝から赤ちゃんの尾びれが出始め、7時52分に誕生した。
 赤ちゃんの体長は110~120センチ(目視)。出産の数分後には、ニーハの隣について泳ぐようになった。乳を探す様子も見せているが、授乳は確認されていないという。
 イルカの人工授精は国内で例が少ない。無事に生まれても、授乳できずに死ぬことも多いという。川久保晶博館長は「無事に生まれてほっとしているが、まだ予断を許さない。授乳が成功するかどうかが、育児における最初の壁になる」と述べた。
 この日は赤ちゃんを一目見ようと、多くの来場者でにぎわった。佐賀県伊万里市の自営業、前田美智子さん(62)は「お母さんが子どもを守りながら泳いでいるように見える。人間も動物も、みんな母親は赤ちゃんがかわいいんだと思う」とほほ笑んだ。朝長則男佐世保市長は「新しい仲間の誕生を心から祝福し、市民と喜びを分かち合いたい。人工授精による出産は貴重なので、全国から注目を集めると期待している」とコメントを出した。
 ニーハは昨年9月、神戸市立須磨海浜水族園から提供された精子で妊娠。胎児は順調に成長し、9月下旬に出産するとみられていた。
 今後2週間は、授乳行動や母子の健康状態をチェックするため、24時間態勢の監視を継続。ショーも2週間ほど中止する方針。もう1頭のナミも妊娠しており11月下旬に出産予定。

寄り添うように泳ぐニーハと赤ちゃん=27日午前9時53分、海きらら

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