極彩色の風 和華蘭 長崎くんち・5 東古川町・川船 伝統の舟歌で力吹き込む

 「水(み)な上(かみ)清き この古川や」-の一節から始まる「舟歌」。中島川近くに位置する東古川町に、古くから受け継がれてきた。見せ場の一つ、網打ちの前にも歌われる。
 同町は長采(ながざい)を置かず、采振(さいふり)2人が根曳(ねびき)16人を率いる。采振の一人、末次克年さん(48)は「伝統を守りつつ、新しいものを取り入れる」と話し、船回しではスピードを重視。「前回以上の完成度を目指したい」と意気込みを語る。見どころは「網打ちと船回し」と言い「網打ちしやすいよう、舟歌でパワーを送りたい」とほほ笑む。
 網打船頭は市立諏訪小5年の寺田悠人君(10)。前回の網打船頭に憧れ、手を挙げた。「魚を一網打尽にしているところがかっこよくて、やってみたいと思った」と話し、3歳だった前回は家でまねしていたと照れたように振り返る。
 寺田君は7月中旬から2日に1回程度、稽古に励んできた。「網が重く、開くように投げきるのが難しい」と感想。「緊張するけど、歓声が聞こえたらうれしい。気持ち良くてすっきりする」と楽しさを語る。
 末次さんは「(演者が)楽しんでいるところを見てほしい」。本番ではお客さんを喜ばせたいと言う寺田君は「魚を全部取れるような網打ちをしたい」と気合十分だ。

真剣な表情で網を打つ寺田君=長崎市上西山町、諏訪神社

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