政党・政治家のNo.1記録更新!なぜ音喜多都議はクラウドファンディングで880万円も集められたのか?

9月10日に都議会議員の音喜多駿氏が、新党の立ち上げを目指して300万円を目標にクラウドファンディングをはじめました。開始わずか2時間で目標金額を達成し、27日時点では880万円を超す金額が集まっています。

これまで国内の政党・政治家がクラウドファンディングで集めた最高金額は、「国民怒りの声」の815万円でしたが、音喜多氏はこの記録を抜き、政治・政党系クラウドファンディングの最高額を更新しています。

 

選挙ドットコムでは、音喜多駿氏に今回のクラウドファンディングについてインタビューを行いました。

目標金額の2倍を超えることは誰も予想していなかった

-選挙ドットコム編集部
日本1位の記録になったことについて、どんなご感想をお持ちでしょうか?

-都議会議員 音喜多駿氏(以下、音喜多氏)
短期間でここまでの記録に到達できたことに、非常に驚くとともに感謝の気持ちでいっぱいです。また同時に、たくさんの方から「お金を出す」という具体的な支援を受けていることに対して、責任と重圧もヒシヒシと感じています。

-選挙ドットコム編集部
開始わずか2時間で目標金額の300万円を超える速度でしたが、どのような手応えを感じていますか?

-音喜多氏
若い世代は政治に無関心、諦めていると言われることも多いですが、まだまだそうでない人たちはたくさんいるのだなと感じています。お金を出してでも政治を変えたいと思っている人がこれだけいることに、大きな政治変革の可能性を感じています。

-選挙ドットコム編集部
実感としては、当初の予想を上回っているのでしょうか?

-音喜多氏
はい、大幅に上回っています。初日で目標の300万円に到達することは密かに狙っていましたが、その2倍にもなる600万円が初日に集まることは、私を含めて関係者の誰も予想していませんでした。初日の午前中は、達成後の御礼文章などもまだまったく用意していなかったので、大慌てする事態になりました。

成功要因は「敷居の低さ」「手軽さ」が若年層にリーチしたこと

-選挙ドットコム編集部
投票率の低さにはじまり、日本では政治家の演説を聞きに行く、政治家のイベントに参加するといった政治参加に消極的な有権者が多いと思われていますが、今回のクラウドファンディングはなぜ、成功したのでしょうか?

-音喜多氏
手の届くところに簡単なきっかけがあれば、政治参加したいという潜在的な有権者がたくさんいるのだと思います。
私も正直、当初はクラウドファンディングは手数料の高さやリターンを準備する煩雑さなどから消極的でしたが、やってみて初めてこの敷居の低さ・手軽さが有権者や若年層にリーチすることに気づきました。

例え同じ新党構想を発表して、個人献金をお願いしたとしても、これだけの金額・人数は集まらなかったと思います。事務所とやり取りして、銀行口座にお金を振り込んで…というのはあまりにもハードルが高い一方、クラウドファンディングはクレジットカードで気軽に決済できますし、リターンがつく購入型なので、従来の「寄付」に持っていた心理的抵抗も払拭できます。一部ではクレジットカードで政治家に献金できる仕組みなどもありますが、もっとこうした窓口を広げる努力を政界も行うべきだと思います。

-選挙ドットコム編集部
今回のクラウドファンディングにとどまらず、今後もネットを活用した政治参加の仕掛けを考えているのでしょうか?

-音喜多氏
せっかくお金まで出してまで支援をしてくれている人たちがこれだけ集まったのですから、継続的にコミュニケーションを続けられる場を創りたいと考えています。具体的には、政党を丸ごと「オンラインサロン化」することを検討中です。オンライン上に様々な分科会をつくって、議員も含めて党員たちが常に議論を活発に行っていく。そして最後は党員(サロンメンバー)によるネット投票を行い、党の意思決定や政策立案にできる限り反映させていく仕組みを取りたいと思っています。具体的なことはまだまだこれからですが、ネットをフル活用した、今までの政党にないあたらしい政治参加の手法を創り出していきます。

ネットの世界でも入念な準備、根回しが必要なことは変わりない

音喜多氏のクラウドファンディングの状況に、アゴラ編集長の新田哲史氏は安易には政治参加が加速するとは言えないとの見方をしています。「リアルでもネットでも音喜多氏の求心力が残されていることが可視化された」としつつも、「新記録を樹立したのは確かだが、ある種の誤解が広がる懸念がある。クラウドファンディングは『ネット上の募金箱』ではない。クラウドファンディングの業界では、初日に目標金額の3割程度を集められるかどうかが成功のカギと言われる。そのためにリアルでの営業をあらかじめできるかどうかも大きなポイントだ。初日から好調だった今回、音喜多氏は影でしっかりと支援先を開拓していたのだろう。核となる部分は、入念な準備、根回しが実は必要なことに変わりない」と述べています。

あわせて音喜多新党の今後については「区長や市長など首長をとれるかどうかが、本物の新党ブームにつながるかの目安になる。旧みんなの党支持層にみられる、改革志向の保守・中間票のマーケットは東京などの首都圏では眠っているのは間違いない。この潜在的なマーケットに訴求できるかどうかだ」と分析しています。

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