イートファクトリーが硬式野球部創設 SAの元日ハムヘッド阿井氏が抱く思い

シニアアドバイザーの阿井英二郎氏

11月23日に第1期生のセレクション「いろんなもの、気持ちを持った選手が集まってくれれば」

 大阪を中心に大阪屋台居酒屋「満マル」や「山ちゃん」、ベトナム屋台酒場「デンロン」を国内外で70店舗展開する「イートファクトリー」が、硬式野球クラブを創設することになった。元プロ野球選手の阿井英二郎氏がシニアアドバイザー(SA)、大島公一氏がアドバイザーを務め、今月12日に第1期生の募集を開始。まずは11月23日に大阪で「セレクション&チーム説明会&懇親会」を行う。

 同社は来年4月1日に硬式野球部「イートファクトリーベースボールクラブ(愛称:満マルビリケンズ)」を結成する予定。選手はクラブ在籍中は時給制の契約社員(契約期間1年)となり、将来の都市対抗野球優勝を「壮大、かつ無謀な目標」に掲げてスタートを切る。

 シニアアドバイザーの阿井氏は「野球をやってきた中には、途中で自分の意思と反して野球をやめてしまった選手が多いと思います。生活的に苦しいとか、その野球部に合わなかったとか、そんな選手がすごく多くいます。そういう選手が集まってくれるといいなと思っています」と話す。「もう1回好きな野球をやりたい」。そんな思いを持ったプレーヤーを待っている。

 都市対抗野球優勝を目標に掲げているものの、だからといって、一定のレベルを越えた選手だけを集めたいわけではない。阿井氏は「大きな、大きな、大きな目標を掲げながら、ゼロ、もしくはマイナスのところから(のスタート)でいいんです。本当に上手い選手が集まってくれる必要もない。いろんなもの、気持ちを持った選手が集まってくれればいいなと。どのくらい時間がかかるか分からないですが、そういうところからこういうチームができたんだよと振り返ることができればいいですね」と言う。

「学びたいという思いが人間を成長させる」

「まだ(野球への)欲求が溜まってる人。野球だけがしたくて、仕事がしたくないということではなくて、新しいことにもう1回チャレンジしたいとか、マネージャーをやってくれる人でもいいですし、チームをみんなで作ってくれる人。そういう思いのある人。年齢も問わないですし、男女も問いません。前向きに一生懸命取り組んで自分を成長させたいと思ってくれる人。その中で私が持っている技術的なものだとか、マインドだとか、そういうものの最先端をお伝えできるのではないかと思っているんです」

 阿井氏はヤクルト、ロッテで活躍後に現役を引退し、つくば秀英高等学校、川越東高等学校の教諭、野球部監督を歴任。2013年から2015年まで日本ハムの1軍ヘッドコーチを務めた。現在は野球解説者及び筑波大学大学院コーチング専攻在学中と、野球人、指導者として豊富な経験を誇る。大島氏も近鉄、オリックス、楽天で活躍し、2006年から2015年まではオリックスでコーチを務めた。現在は、阿井氏と同じく野球解説及び筑波大学大学院コーチング専攻に在学中。選手、そして人間として一緒に成長できる人材を求めている。

「イートファクトリー」は人材育成に力を入れているということもあり、引退後の正社員雇用などといった条件も組み込まれている。野球をしながら、社会人としても色々なことを身につけられる環境がある。

「飲食では、なかなかマネージャー層に人が集まることは少ないそうです。人をまとめるという人材が入ってくることが少ないという現状の中、野球の中でそういうことを覚えていけるチームにできないか、と。そういう中で大島さんにもお願いしたんです。今、大学院で一生懸命勉強しているのですが、学びたいという思いが人間を成長させるということをお互い50歳を過ぎて感じているので、(選手には)若い頃にそういうことを鍛えられないかなと思っています」

 阿井氏にとっても新たな挑戦となるが、「満マルビリケンズ」の躍進が始まれば、大きな話題となることは間違いない。(Full-Count編集部)

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