アフリカに救急車寄贈 横須賀市、消防職員が現地指導も

 横須賀市内を走ってきた救急車が海を渡り、アフリカ南部の小国レソトで再び活躍することになった。途上国を支援している日本外交協会を通じて今月寄贈された。119番通報といった救急医療体制が敷かれていないレソトに救急車が配備されるのは初めて。今月17~19日には、市消防局の救急救命士2人が首都マセルに出向き、取り扱い方法を現地の医療関係者に指導した。

 贈られた救急車は、市消防局が2013年度に廃車となり、同協会に無償譲渡した1台を含む計2台。レソト側から同協会に依頼があり、寄贈が決まった。

 市消防局によると、レソトでは病院が所有している四輪駆動車が患者の要請を受けて出向くことはあっても、日本の救急車のようにサイレンが鳴ったり、医療器材を備えたりしている車両はないという。

 市消防局は、中央消防署救急第1係の消防司令補の村上佳男さん(45)と、三浦消防署三崎出張所救急第1係の消防司令補の鈴木京三さん(57)を現地に派遣。3日間の研修に参加した同国内3病院の緊急車両の運転手や看護師ら12人に指南した。

 村上さんらは通訳を交えて、ストレッチャーや積載資機材の取り扱い方法、搬送活動の訓練を実施。初めの頃は慣れないチームプレーの業務に戸惑いを見せていたが、2人で救急搬送の実演をすると少しずつ目の色が変わってきたという。

 最終日には鈴木さんが傷病者役になり、きちんと搬送活動ができるかをチェック。村上さんは「ストレッチャーで患者を運ぶときに、頭に器具が当たらないように気を付けるなど、注意したポイントを覚えていてくれた」と振り返った。

 救急車は国内の病院に配備され、要請があった患者の搬送に使われる予定。鈴木さんは「3日間でできることは限られている。勉強を続けて、病状を悪化させずに搬送ができるチームでの活動を目指してほしい」と期待を込めた。

救急搬送の研修を受けるレソトの医療関係者ら(横須賀市消防局提供)

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