元TBS会長 故今道潤三氏 功績示す生前資料を展示 諫早市中心部での常時公開を望む声

 戦後の放送界で多彩な才能を発揮した長崎県諫早市高来町出身の元TBS(東京放送)会長、今道潤三氏(1900~79年)の功績に光を当てる動きが始まっている。関連資料は諫早市高来町の諫早市高来支所2階で展示されているが、市民の目に触れる機会は少なく、諫早市中心部での常時公開を望む声がある。

 今道氏は旧北高湯江村(現在の同町)出身。京都大経済学部を卒業後、大阪商船(現在の商船三井)に入社。終戦後の52年、ラジオ東京(のちの東京放送)に入り、庶民生活へのテレビ普及に尽力した。社長時代(65~69年)、「報道とドラマのTBS」で一時代を築き、日本民間放送連盟会長やTBS会長などを歴任。72年、本県出身者で珍しい勲一等瑞宝章を受章した。

 古里への思いは強く、東京の自宅に轟峡をイメージした茶室を造った。長崎県人クラブ設立や高来町への「いこいの村長崎」誘致などに貢献。77年、初代の同町名誉町民に選ばれた。映画や文学、演劇、ゴルフなどに造詣が深く、多才な文化人として知られた。

 99年と2014年、遺族が勲一等瑞宝章などのメダルなどを同支所に寄贈。自筆の掛け軸や愛用したパイプ、吉田茂元首相らと対談する写真、作家の水上勉、中河与一からの手紙などが展示され、幅広い交友関係や存在感をうかがわせる。

 元市文化課長の松本玉記さん(66)は今道氏の足跡を調査し、今年春に刊行された市芸術文化連盟の機関誌「諫早文化」に寄稿を発表。松本さんは「テレビ草創期を築き、調べるほど面白い人物。多くの人が集まる市中心部の施設に展示コーナーがあったら、多くの市民に偉業が広く伝わるだろう」と話した。

 今道氏と書家、故廣津雲仙氏の展示は同支所の開所時間帯に観覧可能。11月4日の高来文化祭では一般公開される。

吉田茂元首相(左)と対談する今道氏の写真など貴重資料が並ぶ展示室=諫早市高来支所

© 株式会社長崎新聞社