【解説】日鉄住金物産、建材薄板流通の一大勢力に 新日鉄住金、川上・川下でグループ再編

 新日鉄住金による日新製鋼の子会社化を受け、系列流通の再編統合は必至とみられていた。4月に三井物産から事業譲渡を受けた日鉄住金物産グループが建材薄板流通の一大勢力になる流れが加速されそうだ。

 ただ、業界内では想定された動きとの受け止めが大勢。むしろ、もっと大掛かりな再編統合を予想した向きも多く、「これで終わらない。さらなる再編統合が必至」との指摘も聞かれる。

 特に注目されるのは建材薄板の中で、カラー鋼板など外装建材の分野。カラー鋼板の店売り市場では、最大手の日鉄住金鋼板(ニスク)グループ、日新製鋼グループ(日新製鋼建材)、JFE鋼板、淀川製鋼所の4大メーカーが市場シェア9割程度を占めている。

 日本鉄板は日新製鋼グループの一次商という立ち位置。一方、日鉄住金物産は従来からニスクの一次商だったが、4月に三井物産が持っていたニスクの準窓口商社の販売商流を吸収し、ニスク系列では最大手の一次商となった。日本鉄板と日鉄住金物産は、カラー鋼板市場では競合する一次商同士だが、今回の子会社化により株式支配では親会社・子会社の上下関係となり、〝いびつ〟な構図となる。

 日鉄住金物産の子会社となる日本鉄板は従来通り「一次商」として、新日鉄住金や日新製鋼グループから商流は維持されるとしているが、新日鉄住金による日新製鋼の完全子会社化、新日鉄住金ステンレスと日新製鋼のステンレス鋼板事業の統合など、川上のメーカー間ではグループ内の事業再編が進んでおり、製造と販売を一元化する流れが加速している。

 ニスクが東海カラーを完全子会社化するなど川上分野でも同様の流れが出現する。今後はニスク系と日新製鋼グループ系の商流の整流化や集約・再編が検討課題となる一方、川上分野ではさらに最適な供給体制を追求する動きが進みそうだ。(一柳朋紀、伊藤健、中野裕介)

© 株式会社鉄鋼新聞社