市販車ベース世界選手権で2輪界初の女性世界王者誕生。SBKマニクールは王者レイが連勝

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第11戦マニクールラウンド決勝レース2がフランスのマニクールで行われ、ジョナサン・レイ(カワサキ)が優勝。今大会でダブルウインを飾った。この大会が今季最終戦となったWSS300では、アナ・カラスコ(カワサキ)がチャンピオンを獲得。世界選手権で史上初の女性チャンピオンが誕生した。

 SBKの決勝レース2は気温20度、路面温度30度のドライコンディションで争われた。前日の決勝レース1の結果からリバースグリッドにより、ポールポジションスタートとなったのはロレンツォ・サバドーリ(アプリリア)、2番手はチャズ・デイビス(ドゥカティ)、3番手はマルコ・メランドリ(ドゥカティ)。決勝レース1で優勝し、2018年チャンピオンを獲得したレイは9番手からのスタートとなった。

 好スタートを切ったのは2番グリッドからスタートしたデイビス。マイケル・ファン・デル・マーク(ヤマハ)、メランドリの順で続き、9番グリッドからスタートしたレイも好ダッシュで4番手につけると、1周目を終えるころには早くも3番手に浮上する。

 序盤のトップ集団はデイビス、ファン・デル・マーク、レイ、メランドリの4名。デイビスは3周終了時点で2番手のレイに対し約1.4秒のリードを広げ、そのまま逃げるかに思われたが、4周目以降、2番手につけるレイがその差を縮める始める。

 8周目、デイビスの背後に迫ったレイは、5コーナー進入でデイビスの前に出る。しかしクロスラインでデイビスが再びトップを奪還。デイビスとレイがバトルを繰り広げたことで、3番手のファン・デル・マークと4番手のメランドリもこのふたりとの差を縮めるが、メランドリは次第に遅れていく。

 中盤の12周目の5コーナーでレイが再び勝負をかけ、デイビスの前に出るものの、やはりデイビスがポジションを守る。しかしレイはデイビスの背後にぴたりとつけ、8コーナー進入でデイビスのインに飛び込みトップに浮上。ついに先頭に躍り出たレイはそこから周回ごとにリードを広げ、2番手のデイビスはレイについていくことができない。

特別カラーのゴールドフェアリングでレース2に挑んだジョナサン・レイ

 レイは最終的に2番手のデイビスに対し1秒804のアドバンテージを築きトップでチェッカーを受け、ダブルウインを達成した。デイビスもレイに交わされた後は単独2番手をキープして2位でチェッカーを受け、7月のミサノラウンドの決勝レース1以来となる表彰台を獲得した。3位には単独3番手をキープしたファン・デル・マークが入賞している。

 メランドリは中盤すぎからトップ集団から遅れ、後方から追い上げてきたトム・サイクス(カワサキ)のプッシュを受ける。残り2周でサイクスがメランドリを交わして4番手に浮上、そのまま4位でチェッカー。メランドリは5位でゴールした。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)クラスでは、ジュール・クルゼール(ヤマハ)が優勝。2位にサンドロ・コルテセ(ヤマハ)、3位にルーカス・マヒアス(ヤマハ)が続き、大久保 光(カワサキ)は10位に入賞した。

 また、今大会では基本的に300ccの市販車で争われるスーパースポーツ世界選手権300(WSS300)で、スペイン人の女性ライダーであるアナ・カラスコ(カワサキ)がチャンピオンを獲得。

 2017年には第7戦ポルトガルで女性ライダーとしてはFIMの大会で史上初の優勝を飾ったアナは今季2勝を挙げており、WSS300の2018年シーズン最終戦となった今大会で13位フィニッシュ。世界選手権で史上初の女性チャンピオンに輝いた。

 これで2019年のSBKシリーズはヨーロッパラウンドを終了。残すはアルゼンチン、カタールの2戦となる。

今季5度目のダブルウインを達成したレイ
世界選手権で史上初の女性ライダーチャンピオンとなったカラスコ

 以下、SBK第11戦マニクールラウンド 決勝レース2順位結果。

■SBK第11戦マニクール 決勝レース2順位結果

Pos. No. Rider Team/Machine Time/Gap

1 1 J.レイ カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(Kawasaki ZX-10RR) 34’16.364

2 7 C.デイビス Aruba.it レーシング-ドゥカティ(Ducati Panigale R) 1.804

3 60 M.ファン・デル・マーク パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム(Yamaha YZF-R1) 3.552

4 66 T.サイクス カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK(Kawasaki ZX-10RR) 4.879

5 33 M.メランドリ Aruba.it レーシング-ドゥカティ(Ducati Panigale R) 6.505

6 32 L.サバドーリ ミルウォーキー・アプリリア(Aprilia RSV4 RF) 11.477

7 22 A.ロウズ パタ・ヤマハ・オフィシャル・ワールドSBKチーム(Yamaha YZF-R1) 15.077

8 12 X.フォレズ バーニーレーシングチーム(Ducati Panigale R) 17.339

9 2 L.キャミア レッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイクチーム
(Honda CBR1000RR) 17.655

10 76 L.バズ ガルフ・アルテアBMWレーシング・チーム(BMW S1000RR) 22.725

11 50 E.ラバティ ミルウォーキー・アプリリア(Aprilia RSV4 RF) 23.257

12 54 T.ラズガットリオグル カワサキ・プッシェティ・レーシング(Kawasaki ZX-10RR) 23.637

13 21 R.マイケル・リナルディ Aruba.it レーシング-ジュニア・チーム(Ducati Panigale R) 26.756

14 81 J.トーレス MVアスグタ・レパルト・コルセ(MVアグスタ1000 F4) 28.178

15 36 L.メルカド オレラック・レーシングVerdNatura(Kawasaki ZX-10RR) 29.292

16 45 J.ガニュ レッドブル・ホンダ・ワールド・スーパーバイクチーム(Honda CBR1000RR) 38.534

17 99 P.ジェイコブセン トリプルMホンダ・ワールド・スーパーバイク・チーム
(Honda CBR1000RR) 42.776

18 40 R.ラモス チーム・ゴー・イレブン・カワサキ(Kawasaki ZX-10RR) 46.765

– 11 J.グアノニ ペデルチーニ・レーシング・SC-プロジェクト(Kawasaki ZX-10RR) 51.689

– 96 J.シュムルツ グアンダリニ・レーシング(Yamaha YZF-R1) 4Laps(リタイア)

– 121 M.ルシアーナ ドリーム・チーム・カンパニー(Aprilia RSV4 RF) 19Laps(リタイア)

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