玉城デニー氏勝利の沖縄県知事選、沖縄35ヶ所で行われた選挙の結果、沖縄の未来はどうなる?

選挙運動期間最終日には台風に襲われた、沖縄県知事選挙。長く熱い戦いを制したのは立憲民主党、国民民主党、共産党、自由党、社民党、沖縄社会大衆党が支援した玉城デニー氏でした。
9月にはこの他、沖縄統一地方選挙をはじめ複数の選挙が実施されました。
これまでの流れと今後の見通しについて確認してゆきましょう。

9月だけで32の選挙が実施

沖縄県内の市町村議会議員選挙などが一斉に行われる統一地方選を含め、今年9月だけで県内で32(無投票を含めると35)の選挙が実施されました。日本全国で行われる統一地方選挙より1年はやく実施されたこれらの選挙では、各地域それぞれの課題について主張が交わされるだけでなく、目前に控えた沖縄県知事選に向けて各団体の組織固めの機会と位置付けられていた側面も見受けられました。

オール沖縄が雪辱果たす 沖縄県知事選

32の選挙のうち、県内外から最も注目を集めた沖縄県知事選挙には、翁長雄志前知事が後継に指名して「オール沖縄」勢力が支援した玉城デニー氏が、政府与党が総力をあげて応援した佐喜真淳氏らに大差で勝利しました。玉城陣営は評価の高かった翁長県政を引き継ぎながら、自治体外交の推進や中高生のバス通学代支援など独自の政策を盛り込んだ「誇りある豊かな沖縄」ヴィジョンを掲げたことが評価されました。

沖縄県知事選 候補者ポスター

佐喜真市政の継続 宜野湾市長選

米軍による度重なる落下事故などが相次ぎ、「最も危険な基地」とされている普天間飛行場が位置する宜野湾市では、佐喜真淳氏の知事選立候補に伴う市長選挙が実施されました。結果は佐喜真市政の副市長を務め、自公と維新が推薦する松川正則氏が「オール沖縄」が推す仲西春雅氏に勝利しました。長く革新地盤と言われていた宜野湾市ですが、3期連続保守系の政治家が市長を務めることになりました。

宜野湾市長選 候補者ポスター

与野党が拮抗 名護市議選

新基地建設を巡る議論が続いている辺野古が位置する名護市では市議会議員選挙が行われました。今年2月に行われた市長選挙では自公と維新が推薦する渡具知武豊氏が当選。今回の市議会議員選挙では市長派13人当選に対して反市長派も同数の13人が当選。9月28日に開会した名護市議会定例会では市長派で公明党の大城秀樹氏が選出されました。このため、議決に加わらない議長をカウントしないと市長派12人対反市長派13人と、少数与党の構成となり、市長としては今後議会運営の手腕が問われることになります。

名護市議選 候補者ポスター

4年前の翁長雄志氏の県知事当選以降、辺野古新基地建設に反対する保革連合「オール沖縄」と建設を推進する立場の自民・公明両党を中心とする「チーム沖縄」の2極による対立構造が続いてきました。(ただし、公明党沖縄県本部は新基地建設反対の立場で中央と意見を異にしています)
ただ、今年に入ってから八重瀬町長選、名護市長選、石垣市長選、沖縄市長選と「オール沖縄」陣営が支援した候補者が落選する選挙が続いており、翁長氏や「オール沖縄」の求心力に不安視される事態が続いる中で、雪辱を果たす結果となりました。

玉城デニー氏と支持者たち

一方、翁長県政が最後の仕事として行った辺野古の埋立承認撤回を、首相官邸がどのように判断するのか、また基地建設工事差し止めの裁判がどのような結果となるのかが注視されています。
それらの結果を受けて「翁長県政を引き継ぐ」として知事選を勝ち抜いた玉城新知事がどのような態度を示し、政府といかに対峙して成果をあげるのかが当面の大きな課題となるでしょう。

また、基地問題だけでなく、公約に掲げていた「幼児教育の無償化」「最低賃金の引上げ」「北部基幹病院の建設」などの政策を4年の任期内でどの程度実現できるか今後の県政運営に注目が集まります。

© 選挙ドットコム株式会社