【台風24号】通勤足止め、貨物船漂着 川崎、停電1万8千世帯

 川崎市内では台風24号による影響が1日も尾を引いた。JR各線が始発から動かず、通勤ラッシュの時間帯に多くの市民が主要駅で足止めに。全区で発生した停電は同日正午時点で約1万8千世帯に及んだ。市も倒木やトタン屋根が飛ぶなどの強風被害の対応に追われた。

 1日朝、JR川崎駅では改札に通じる自由通路が通勤客らで埋め尽くされた。線路内に落ちた障害物の除去や安全確認のため東海道線や京浜東北線、南武線が始発からストップ。午前6時すぎから順次運転を開始したが、駅構内や改札周辺に滞留した利用者をさばききれず、入場制限に踏み切ったため、自由通路がごった返す結果になった。

 出勤途中の男性(56)は「20分くらい待たされている。新宿駅が混雑しているのはテレビで知っていたが、川崎で同じ目に遭うとは」と困惑顔。入場制限は午前7時40分ごろから約2時間続き、1歳半の子どもを抱いた母親(26)は「仕事に行く前に託児所へ子どもを預けなければいけない。間に合うかどうか」と不安そうに携帯電話で職場に連絡していた。同様の入場制限は武蔵中原、武蔵溝ノ口、登戸、武蔵小杉の各駅で行われた。

 市消防局によると、倒木やトタン屋根が飛ぶなどの通報が寄せられ、同日午前6時半までに出動件数は107を数えた。

 同日午前1時45分ごろには、川崎区扇島のJFEスチールの護岸にベリーズ船籍の貨物船「マリナ」(1920トン)が漂着。大黒ふ頭近くでいかりを下ろしていたが、強風で流されたという。川崎海上保安署によると、中国人ら乗組員12人は自力で護岸に移り、けがはなかった。船体の損傷を調査後、2日以降にサルベージ船でえい航する見通しという。

 市危機管理室のまとめでは、市内のけが人は3人。強風であおられたドアに指を挟んだり、割れたガラス片が頭に当たったりして、いずれも軽傷という。

 小中学校などに開設した69カ所の避難所には、ピーク時の1日午前0時で高齢者ら36世帯52人が身を寄せた。市は9月30日午後5時に幸、中原、高津、宮前、麻生区の土砂災害警戒区域に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令。解除は翌1日午前5時半だった。

 JR各線が9月30日午後8時以降に運休したことに伴い、市は川崎駅周辺で帰宅困難者用の居場所を確保していたが、案内するケースはなかったという。

入場制限で足止めされる通勤客ら=1日午前9時15分ごろ、JR川崎駅

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