アンソニー・ホプキンスが製作総指揮も担った主演作で、どこか『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士を思わせるジョン・クランシー博士を演じている。キャラとしてそれほど似ているわけではないのだが、常人離れした医師である点、FBIの新米女性捜査官とバディを組み、猟奇的な連続殺人事件を追うところなど、多くの共通項がそう思わせるのだろう。
本作における常人離れとは、一種の予知能力のこと。クランシーは、触れた人や物の過去や未来が見えてしまう特殊能力を使って犯人を追うが、実は犯人も彼と同じ能力の持ち主で、しかも相手の方が自分より能力が上であることにクランシーは気付くのだ。
とはいえ、そんな特殊能力を、刑事ドラマでよくある刑事のカンだとか洞察力をデフォルメしたものだと考えれば、違和感はそれほどない。むしろそこでつまずいてしまうと、その先にある刑事vs犯人の駆け引きや攻防の面白さを堪能できなくなるのでスルーしてほしいし、恐らく刑事ドラマ好きなら許容範囲のはず。しかも、さらにその先には、ネタバレになるので書けないが、エンターテインメントの枠に収まらない重いテーマも用意されているのだ。
ただし、『羊たちの沈黙』のレベルを期待するのは、さすがに酷。規格外と比較せず、純粋に楽しんで! ★★★☆☆(外山真也)
監督:アフォンソ・ポイアルチ
出演:アンソニー・ホプキンス、ジェフリー・ディーン・モーガン、アビー・コーニッシュ、コリン・ファレル
10月6日(土)から全国順次公開