極彩色の風 和華蘭 長崎くんち・7 椛島町・太皷山 雄々しい掛け声で天高く

 椛島町の担ぎ手らが雄々しい掛け声とともに約1トンの太皷山を空中に高く上げ、片手で受け止める。「コッコデショ!」。気合の入った掛け声が、観客の鼓膜を震わせる。勇ましい演技は、太皷山にかける人々の情熱がつくり上げる。
 樺島町自治会の浦晧会長(79)によると、太皷山は、長崎港に出入りする江戸幕府の積み荷船を表すといい、担ぎ手は波を演出。表現者の担ぎ手には体力や瞬発力などが求められ、厳しい試験で18~50歳の40人が選ばれた。初参加の長崎市滑石2丁目の会社員、安永年軌さん(28)は「胸を張って諏訪神社で奉納したい」と意気込む。
 先導役の棒先(ぼうばな)の一人に、前回担ぎ手で初参加した市川寿男さん(39)が選ばれた。大村出身でくんちには縁が無かったが、くんちファンの妻の影響で約10年前に住まいを樺島町に決めた。今回先曳(さきびき)と采振(さいふり)、太皷山を息子3人、裏方を妻と娘がそれぞれ務め、初めて家族全員が参加。市川さんは「夢がかなった。元気に本番を迎えたい」。
 担ぎ棒は、原発事故で被災した福島県川内村のヒノキで新調し、福島の復興を長崎から願う。指揮者の江島輝さん(55)は「全員の『結束』で、声を出し太皷山を上げる」と語る。それぞれの思いを胸に本番に臨む。

雄々しい掛け声を上げる担ぎ手ら=長崎市上西山町、諏訪神社

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