号砲 県議選 16選挙区の構図① 長崎市区(定数14) 南部は草刈り場に

 来春の統一地方選で実施される県議選まで約半年。今のところ、全16選挙区の定数46に対し、少なくとも計50人が立候補の動きを見せている。現時点での各選挙区の構図を探った。
 長崎市区の立候補予定者を数えていた現職の一人は、思わずにんまりした。定数14に対し、現時点で15人。18人で争った前回に比べると、当選圏に入りやすい。「ビリだけは避けなければ」。口ぶりにも余裕がにじむ。
 動きが鈍いようにも見える同市区。だが自民内の様相はやや異なる。
 昨年の自民県議団の分派。自民2会派の勢力争いの中、前回は無所属だった同市区の現職1人が入党した。立候補予定者は公認申請時点で前回より1人多い6人になる見込み。県都の同市区は「定数の割に数が少ない」と弱点に挙げられており、党勢拡大の面では堅実な布陣に映る。しかし、元々固い地盤を持つ候補者は少なく「票を食い合うのではないか」(現職の一人)との懸念もくすぶる。
 現職は4人。野本三雄は市北部の地域票が基盤。党員として初の選挙となる浅田眞澄美は、中心部をメインに準備を進める。江真奈美は事務所を構える東長崎地区などを軸に前回からの上積みを狙い、前田哲也は医療関係団体などを足掛かりに動きを本格化させる。
 3期務めた下条文摩左は勇退し、長男の下条博文が地盤を受け継ぐ。前回、61票差で涙をのんだ久保田将誠は出身の式見地区を中心に浸透を図る。
 一方、民進分裂を経て、初の統一地方選を迎える立憲民主と国民民主。前回は民進の前身の民主から5人が出たが、今回は今のところ、合わせて3人にとどまる。いずれも政党支持率は伸び悩み「新人をどんどん擁立できる状況じゃない」(国民県連幹事長の渡辺敏勝)との嘆きも聞かれる。
 「立憲民主から出ないか」。4月末、市内の居酒屋。当時、民進県連役員だった赤木幸仁は立民関係者から打診を受けた。
 前回、民主から出馬し落選。選挙を支えた関係者に恩を感じながらも、心は揺れた。結局、理念の近さや立民県連の創立メンバーになれることも魅力に感じ、立民からの出馬を決意。無党派層への浸透を図る。
 たもとを分かつ国民。深堀浩は基盤の九電労組長崎支部のほか、浦上地区を中心に支持拡大を狙う。三菱重工グループ労組連合会長崎地区本部出身で、前回トップ当選だった渡辺敏勝は勇退。後継に中村泰輔が立候補を予定する。吉村正寿は出馬を慎重に検討している。
 公明の川崎祥司と麻生隆は2議席堅持を目指す。共産の堀江ひとみも議席死守の構え。社民の坂本浩は2期目を狙う。
 無所属の中山功は市南部などを、原拓也は青年会議所などを中心にそれぞれ動く。
 候補予定者の多くは、市長選に出馬を予定する高比良元の主地盤の三和地区に視線を向ける。前回、高比良が得た7千超の票を巡り「南部は草刈り場になる」との声が出ている。=文中敬称略=

◎立候補予定者 

野本 三雄 81 自現(6)
浅田眞澄美 52 自現(3)
江 真奈美 51 自現(2)
前田 哲也 54 自現(2)
久保田将誠 46 自新 
下条 博文 43 自新 
赤木 幸仁 33 立新
深堀  浩 53 国現(2)
中村 泰輔 38 国新
川崎 祥司 56 公現(2)
麻生  隆 63 公現(1)
堀江ひとみ 59 共現(3)
坂本  浩 59 社現(1)
中山  功 70 無現(5)
原  拓也 50 無新

 【お断り】立候補予定者名簿の政党は衆院勢力順(自民=自、立民=立、国民=国、公明=公、共産=共、社民=社、無所属=無)。政党内は現職-元職-新人の順で、当選回数(丸数字)ごとに五十音順。所属は公認申請予定を含む。

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