農福連携で障害者雇用促進 都内の特例子会社、横須賀に事業所

 「農福連携」を通し、障害者雇用の促進や農家の人手不足解消を図るため、特例子会社「パーソルサンクス」(東京都中野区)は2日、事業所「よこすか・みうら岬工房」を神奈川県横須賀市長沢に開設した。同社は事業所を拠点に、社員として採用した障害者を、三浦半島にある請け負い先の農園に派遣し、収穫などを手伝わせる。

 事業所は、京急線京急長沢駅近くにある3階建てビルの1、2階に入居。ミーティングスペースや更衣室、事務室を用意し、収穫などで汚れた作業着を洗う洗濯機なども置いた。

 同社は1日付で、精神や知的障害の30~50代の男女5人を採用。当面は横須賀や三浦市内の三つの農園で、3人の指導スタッフ(現場責任者)と一緒に、苗の定植や収穫、出荷の準備などに汗を流す。採用人数について、同社は2020年までに30人を目指す考えだ。

 事業所近くの北下浦コミュニティセンターで2日、開所式が開かれ、出席した5人は「体力には自信がある」「できることを精いっぱい頑張ってやりたい」など、口々に意気込みを語った。同社の中村淳社長は「仕事を教えてもらいながら、人材として期待される存在になっていきたい」とあいさつ。来賓の上地克明市長は「一緒になって横須賀の発展に尽くしてほしい」と激励した。

 「農福連携」は高齢化や人手不足に悩む生産農家と、就労機会になかなか恵まれない障害者の双方にメリットをもたらす取り組みとして、全国でも注目されている。事業所の開設は、同社が6月に市と結んだ連携協定の一環で、地域農業の活性化につながることも期待されている。

開所式で握手を交わすパーソルサンクスの中村社長(左から3人目)ら=北下浦コミュニティセンター

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