<再ブレーク盤> D-51『Late Summer』 15年前と変わらない二人のハーモニー

D-51『Late Summer』

 05年の『NO MORE CRY』のヒットで知られる沖縄出身の男性デュオが、約3年半ぶりにメジャーに復帰。今年、小さな子への惜しまぬ愛を優しく歌った『忘れないよ』がNHK『みんなのうた』に選ばれ、じわじわと人気が出ている。

 全8曲を聴くと、上里優の熱く温かな声と、吉田安英の少年のような高い声、そして爽快なサウンドに溶けこむ二人のハーモニーが、15年前とほぼ変わらないことに驚く。それゆえ、夢追いを描いた『Take it easy』やラブ・バラードの『Cindy』も(良い意味で)青臭く聞こえ、今の若い世代にも好まれそうだ。

 さらに、『忘れないよ』『ノクターン』『ラストシーン』を聴くと、大きな成長を感じる。『ノクターン』は4つ打ちの軽快なリズムに乗せつつ、シリアスな内容の応援歌というのが新鮮だし、『ラストシーン』は、卒業間際に撮った片想いの相手との写真がテーマで、胸が締めつけられる。この15年間があったからこそ、子ども時代も、長く夢追う時期も、親世代の今もリアルに描けるのだろう。

 8曲目の『忘れないよ(Tropical Beach Ver.)』も実に彼ららしいサウンド。本アルバムから、“継続は力なり”という言葉を確信するはず。

(ユニバーサル・2130円+税)=臼井孝

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