子育てタクシー“快走” 産婦人科通院、園や塾の送迎 長崎県内 専門乗務員100人に

 妊娠中の女性や小さな子どもを送迎する「子育てタクシー」の利用が長崎県内でも徐々に増えている。長崎県内では2006年に運行が始まり、全国子育てタクシー協会(横浜市)の認定を受けた乗務員は現在、約100人を数える。同協会や加盟社は子育て環境の向上に向けてさらなる浸透を図る考えで、ニーズに対応するため新たな乗務員の養成にも力を入れている。

 子育てタクシーは2004年、高松市で誕生。現在、長崎県の長崎ラッキータクシーグループ(長崎市)、合同タクシー(大村市)、シルバータクシー(佐世保市)を含め30都道府県146社が同協会に加盟している。

 子育てタクシーでは専門の講習を受けた乗務員が対応する。利用には事前登録が必要だが、料金システムは一般のタクシーと同じ。必要があれば、チャイルドシートを設置した車で迎えに行き、ベビーカーや大きめの荷物などは乗務員が玄関先まで運搬する。妊娠中は事前に出産予定日や通院先の病院を登録することで、陣痛時にも名前を告げるだけで迅速な送迎に対応。子どもだけで通園や通塾などに利用することもでき、送迎が終わると保護者に電話などで連絡するサービスもある。

 長崎県内最大手の長崎ラッキータクシーグループでは2007年2月から今年8月末までに、長崎市内だけで1933人が登録。累計利用件数は5100件に上る。登録、利用は年々増えており、子どもの成長に合わせて10年近く継続して利用している人もいるという。

 9月には長崎市内で同協会の養成講座があり、各社から計27人が受講した。妊婦役と乗務員役に分かれて実際の場面を再現する講座もあり、妊婦への気配り、ベビーカーやチャイルドシートの扱い方も実習。受講したラッキータクシーの島津真之さん(50)は「妊婦の体験や接し方を教わったことは今後のプラスになる。声掛けは大切と感じた」と話す。

 講師を務めた同協会の内田輝美顧問=トレモロ代表、元湯江タクシー社長=は「女性活躍社会、働き方改革を実現する上で子育てタクシーは重要な役割を果たせる」と強調。「タクシーが社会からもっと頼られる存在になるため、講座などを通じて利用者目線に立ったサービスを広めていきたい」と話している。

妊婦役と乗務員役に分かれ、実習する受講生=長崎市油木町、長崎県立総合体育館駐車場

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