従業員「寝耳に水」突然の解雇通告 五島産業汽船運休

 五島産業汽船(長崎県新上五島町)の突然の運休に伴い、同社に解雇された従業員の男性が3日までに長崎新聞社の取材に応じた。「同僚もみんな驚いている。寝耳に水の状態」と困惑ぶりを語った。

 運休前日の1日、男性は朝から普段通りに働き、乗船予約も受け付けていた。ところが夕方になり、会社側は「不渡りを2回出して経営状態が悪化した」と突然解雇を通告したという。

 五島産業汽船は8月中旬に1回目の不渡りを出し、苦境に陥っていた。だが男性は「会社が危ないとのうわさも聞かなかったし、(運休を)まったく予想していなかった。自分以外の人も知らなかった様子だった」と話す。

 乗船券を購入した利用者に払い戻しもできていない。「従業員は笑顔を意識し、お客さまに気持ちよく利用してもらうことを心掛けていた。どう謝罪していいか分からない」と気に病んでいる。

 10月の給与が支給されるかどうかも分からない。「解雇通知が2~3週間前ならば身の振り方を考えられた。年齢によっては再就職の見通しが立たない人もいるだろう」と憤る。自身の今後については「まったく分からない」と途方に暮れた。

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