九州全域に電子決済普及へ コンソーシアム発足

 九州全域に現金を使わない決済を普及させ、インバウンド(訪日外国人客)誘致や消費拡大を目指す「九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアム」(座長・唐池恒二JR九州会長)が4日発足した。JR九州と中国の電子商取引大手アリババグループの提携が発展。サッカーJ1のV・ファーレン長崎の高田明社長が副座長に就き、福岡市内であった会見で広く入会を呼び掛けた。
 JR九州は7月、中国からの誘客増を狙いアリババと戦略提携した。中国で電子決済サービス「アリペイ」を展開しているアリババは、同コンソーシアムの事務局を担う。アリババ日本法人の香山誠社長は、九州では電子決済が福岡市以外で浸透していないとして、3年以内に九州のインバウンド関連店舗の半数に当たる15万店舗に導入させる目標を掲げた。
 理事企業としてJR九州やタクシー大手の第一交通産業(北九州市)など7社が参画。電子決済サービス会社「LINE Pay」やNTTドコモなど10社が賛助会員となり、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)や十八銀行(長崎市)など地銀も名を連ねた。
 電子決済のうち、小売店にとって初期投資が少ないQRコードの普及を主に想定。一般会員向けの勉強会やイベントによる情報発信をする。決済サービス会社によって仕組みや特長が違うため、情報をまとめて会員に分かりやすく提供するほか、利用者の消費動向などビッグデータの活用も図る。
 会見で唐池座長は「インバウンドだけでなく、国内居住の方々にもキャッシュレス環境を堪能してほしい」と強調した。高田副座長は「わくわく」と「楽々」という感情を組み合わせた同コンソーシアムのロゴ「九州ワクラク観光宣言」をPR。「飲食も宿泊も買い物も、消費者にもっとお金を使っていただくにはインフラ整備が必要だ」と訴えた。

「九州キャッシュレス観光アイランド推進コンソーシアム」の発足会見に臨む唐池座長(左)と高田副座長=福岡市博多区、ホテル日航福岡

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